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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
213/250

気分転換

「悪ぃ、寝坊した!!」


待ち合わせに最後に現われた斗亜は、苦笑いで言う。



「お前はいつもそうだな。誘っておいて」

律季があきれたように言う。


「じゃ、行こ!!」

美琴がそう言うと、斗亜と並んで歩き出す。



「…――――」


「新太、今日夏期講習休んだの?」

律季が新太の隣を歩きながら言う。


「あ…うん」


「そっか。まぁたまには気分転換も必要だよな!」

律季が笑顔で言う。


(なんで律季は普通に話し掛けてくれるんだろう…)

新太は前を向いたまま、歩く。



「美琴も、色々悩んでるみたいだけど…―――」


前を歩く美琴を見つめながら、律季が言う。


「気分転換になれば良いよな」


(美琴が…ーーー?)


「…―――それは…進路のこと?」

新太は律季に言われて、負けじと言う。


(律季も知ってた…?アメリカの大学を辞退したこと…)


「ん?まぁ…そうだな。モデルいつまで続けるか…とか?」



「え、モデル…?」


新太は、仕事の話について美琴から聞いたことがなかった。




「あれ?新太は聞いてない?―――美琴、いつモデルやめようかって悩んでるみたいでさ…」


「え…」


(また知らない…美琴の話…―――――)


一緒に住んでいるのに…

誰よりも近くにいるはずなのに…


目の前を歩く美琴が、また遠く感じた。


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