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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
210/250

誘い

「瀬戸くん」

夏期講習を終えて、家に帰ろうとしていた新太に、

早子が声をかける。


「明日なんだけど…ーーー」

問題集を手に、早子が話し掛ける。


「あぁ、ごめん…」

新太は、そんな早子に困ったように微笑む。

「明日は俺、休むから…―――」








――――昨晩のことだ。


美琴と何も話が出来ないまま三日が過ぎた―――――。



美琴はモデルの仕事で毎日朝早くから家を出て、夜帰ってくるという生活をしていた。


新太が起きる頃に家を出て、夜は部屋で勉強していると帰ってくる。


避けられているのかもしれない、と新太は思っていた。


(俺が余計なこと言ったから…ーーー?)



早くいつものように話せるようになりたい。


そう思っていた矢先のことだった。


メールの着信音が鳴った。


グループチャットが作成され、斗亜からメールが届いたのだった。



『明後日、海行こーぜ』


グループ設定されていたのは、新太と律季、それに美琴だった。



「急すぎだろ…」

新太はメールを見ながら呟き、携帯電話を置くとまた勉強に取り掛かる。


しばらくして、メールの着信音が鳴った。


『OK』のわけの分からないキャラクタースタンプを、律季が送ってきた。


すると、すぐにまた着信音が鳴った。


今度はかわいらしいキャラクターのスタンプで、『OK』と送られてきた。


それは、美琴からだった。


(美琴…ーーー)


隣の部屋にいる美琴が、今スマホを触っている。


新太は、近いはずなのになぜか遠い存在に感じて複雑な思いで美琴の部屋のある方の壁を見つめる。


『新太は?』

斗亜から催促メールが来た。




明後日も、予備校で夏期講習の予定だった。


(でも…ーーーーー)



新太は、携帯電話を持ち、メールを送る。


『行くよ』






――――こうして明日、四人で海に行くことになったのだった。


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