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律季の笑顔
「あー、楽しかった!!今日はありがとね」
暗くなった帰り道、美琴は律季にお礼を言う。
「美琴?」
暫く黙っていた律季が、改まった様子で美琴を見つめる。
「ん?」
笑顔のまま、美琴は律季を見つめ返す。
「俺さ…今日すげぇ楽しかった!」
「うん、私も!律季とはノリも合うし、一緒にいて楽しいよ」
律季の言葉に、美琴は仲良くなれたことが嬉しくて、機嫌良く歩く。
「このまま、ずっと一緒にいたいな」
「あはは、私も!」
律季の言葉に笑って同意しながら、美琴は笑顔で歩く。
自分の言葉の真意が美琴には伝わっていないことを理解して、律季は苦笑して隣を歩く。
「俺さ、自分でも驚いてるんだ…こんな気持ちになったのは初めてだったから」
「ーーー…律季?」
律季の言葉の意味が分からず、美琴は首をかしげる。
「また、ね?美琴…」
家の近くまで送ってくれた律季は、美琴にそれ以上何も言わず手を振ると、爽やかに微笑んで帰っていく。
(律季、今までちゃんとした“友達”いなかったのかな?)
美琴は、なぜかそんな勘違いをした。
帰り際に見せた笑顔を思い出して、美琴は感じていた。
ーーー律季の笑顔は、今日海にいた時だけは、間違いなく“本物”だったな、と。




