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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
206/250

嫉妬

「ケンカしたんか?」

隣を歩きながら、友也が美琴に尋ねる。


待ち合わせて東京観光をする約束をしていた翌日、

美琴は明らかに元気がなかった。



「なんでこうなっちゃうかな…」


美琴はか細い声で言う。


(怒らせるつもりなんて無いのに、どうして新太は不機嫌になるんだろう…)



「まぁ、今日は一日観光楽しもうや」

友也がそう言って美琴の手を引いて歩き出す。



美琴は友也が明るくしようとしてくれるのが分かって、その優しさに少しだけ元気が出た。


「ありがとう」







「こんにちは」


「ども…」


夏期講習に向かう電車で、たまたま新太が乗った車両に早子が立っていた。



『新太はどうして怒ってるの?』


『嘘!それで怒ってないつもり?』


昨日の美琴の言葉が、何度も何度も自分を責める。


(怒ってない…。ただ、いじけてただけ――――…。)

自分の格好悪さに嫌気がさす。



同じ場所に向かうので、早子と新太は、特に話すこともなかったが一緒に電車を降りて、並んで歩き出す。


「元気がないのね?」


早子が前を歩きながらポツリと言う。



「そんなことないけど」

新太は、できるだけ普段通りに答える。


フワッと風が吹いて、早子の髪がさらりと靡いた。

その瞬間、美琴の香りがした気がした。


無意識に新太は、早子の髪を少しだけ触れる。


「え…?」

突然髪に触れられた早子は、驚いて新太を見上げた。



「あ…ごめん…ーーー!」

自分が早子の髪を触っていたことに気付き、新太は慌ててパッと手を離す。


(何やってるんだろう…俺は…ーーーー)




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