友也と美琴
「は?」
(こいつ今、“泊めて”とか言った?)
美琴に馴れ馴れしい上に、図々しい発言。
新太はこの瞬間、友也をライバルだと認識した。
「美琴、帰国したらうち遊び来い言うてたよなー?」
友也が美琴と並んで歩き出す。
「マジで?あれ本気だったの?」
美琴が笑いながら、言う。
「本気やって。だから来たんやろー!東京観光もしたいしな」
「新太ー、別に良いよね?」
美琴は振り返りながら、新太に同意を求める。
「…あぁ―――」
(俺に拒否権無いんだろ…、どうせーーー)
そんな新太に気付きながら、美琴はまた友也と前を歩く。
「友也、受験は?遊んでて大丈夫なの?」
「俺アメリカの大学に行くつもり、もう推薦枠確保済み」
「へぇー」
美琴と友也は、ずっと楽しそうに話をしている。
「そんで、リサがさ…」
「えー、私もそれ行きたかったー!」
新太は堪らずに、足早に二人の横を通る。
「美琴、俺先帰ってるわ…」
「え、新太?」
引き留めようとした美琴の肩に手を置いて、友也が微笑んだ。
「じゃあ少し美琴のこと借りるなー!」
「…―――」
新太は何も言わずに、足早に帰っていった。
そんな新太を美琴は見つめる。
(新太…ーーー?)




