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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第三章】
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試験結果

中間試験の結果が貼り出され、上位の生徒の名前がが掲示板に載せられた。


「美琴って、向こうでうちの学校の勉強もしてたの?」

掲示板の前を通りかかる美琴に、律季が結果を見ながら話し掛ける。



「律季…」

突然話し掛けられた美琴は、立ち止まると驚きながら答える。

「ううん、してないよ?」



「一年間いなかったのが、嘘みたいだよな」

一位の名前が“相馬美琴”とあり、律季はまた二位になっていた。




「てか、律季とこうして話すの久しぶりだね」

美琴は嬉しそうに笑う。


「うん…」

そんな美琴に、律季は微笑み返す。





二人が掲示板の前で久しぶりに話し込んでいるのを、

トイレから戻ってきた新太は、教室の前で偶々目撃してしまった。


(美琴も、律季も…ーー楽しそうだな…)

新太は、嫉妬する心を抑えて、教室へと戻る。





『俺は将来、医者にならなければいけない。それに、結婚相手も決まってんだ』


律季が不本意なくせに笑って言った、あの日の言葉。


『美琴のことは本気で好きだった。でも…美琴と付き合ってる自分に、不安があった。』


『俺は、決められた将来(こと)に従わなければいけない。それに逆らう勇気も覚悟も、無かったんだ…』



あの時、律季は自分にそう言った。

“だから俺に遠慮するな”とでも言うように。


(今でもそうなのか…ー――――?)



本気で好きだったのに、決められた将来に逆らう勇気も、

覚悟も、律季は無いままなのだろうか?



(もし、律季が人生を諦めているのなら…ーー)



医者になって、決められた婚約者(ひと)と結婚して、

律季は本当に幸せなのだろうか?



(俺は律季(あいつ)の為に、美琴を返さなくてはいけない…)



そんな決まった人生は、律季の自由を奪うただの親の自己満足ではないのか?



(俺が律季から美琴を奪ったんだから…――――)

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