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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第三章】
197/250

三年生の春

「ちょっと…、なんで起こしてくれないの?」

朝から不機嫌な声で、新太が美琴を責める。


「起こしたよ!でも新太が『起きたから』って言ったから」

新太の言い方に、美琴は苛立ちながら反論する。



「ほら、二人とも言い合ってる時間があったらさっさと仕度しなさい」

舞子に言われて二人は、慌てて支度をすると玄関に向かう。



「「行ってきます」」

仲良く家を出ていく二人に、舞子は嬉しそうに目を細める。


「行ってらっしゃい!」





「新太、特進クラスだよね?」

電車に間に合い、ようやく落ち着いたところで、

美琴は新太に今日のクラス発表の話題を出す。


「うん」


「私も、一緒。初めて同じクラスだね」

美琴は新太に、嬉しそうに笑いかける。


「美琴も国立大、志望なの?」

至近距離での笑顔(ふいうち)に、片手で口許を隠しながら新太は尋ねる。


「うん、新太はどこ?」


「俺も一応、国立大かな…」


「学部は?」


「んー、経済学部かな?美琴は?」


「私は国際文化学部かな。―――そしたらあと一年でバラバラだね」


美琴は、寂しそうに視線を落として笑う。




「そんなことない、ずっと一緒だよ」

新太は、そんな美琴の切ない表情を見て、つい声をあげてしまう。



「新太…」

美琴は、そんな新太の言葉に胸を打たれたように目を潤ませる。



「おはよう、お二人さん」

良い雰囲気になったところで、斗亜が違う車両から現れた。


「あ、斗亜!おはよ」

美琴が斗亜に挨拶を返す。


「新太、なんで俺を睨むんだよ」

その理由は分かっていたが、斗亜はわざと尋ねた。


「別に?」

フイッとそっぽを向いて、新太は不機嫌になる。




(こいつら、なんで付き合わねーんだろう…)

斗亜は、そう思いながらもこの二人をからかうのが楽しくなっていた。



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