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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第三章】
196/250

ぎこちない二人

目の前にいた美琴の表情に、斗亜は困惑していた。




『美琴』

新太の声が聞こえた瞬間の、嬉しそうな顔。


そのあとに見せた、切なく不安そうな顔。


(美琴は、新太のことが…――――?)



でも、目の前で再会を果たした二人はなんだかぎこちない。


お互い想い合っているはずなのに、お互い心を許していないような、どこか不自然な雰囲気。



「美琴は、来年二年生なのか?」

斗亜は、ぎこちない二人を見ていられず、話題をふる。


「ううん、進級試験はパスしたから斗亜と同じ三年になれるよ!」

美琴は、笑顔で斗亜に答える。


「あ、てか斗亜は進級出来るの?」

美琴がからかうように言う。


「出来るわ!この春休みに補習受けるけどな」

斗亜はツッコミながら、美琴に言う。


「え、それすっごい怪しい!変わってないねー、斗亜」

豪快に笑いながら、美琴が言う。


そんな美琴を、新太は愛おしそうに見つめていた。



(美琴だ…。帰ってきたんだ…本当に…――――)

新太は目の前にいる美琴をひたすら見つめていた。


桜の花びらが舞い落ちて、美琴の頭にひらりと乗る。



「おかえり」

新太が、美琴の頭に乗った花びらを取りながら微笑む。


突然頭に手を伸ばされて一瞬ビクッとしながらも、花びらをつまんだ指を見て、美琴は新太に微笑み返す。


「ただいま」








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