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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第三章】
184/250

図る気持ち

『美琴、大丈夫…――――』

『もう、怒ってないし。やり直したいとか言わないから』


あの時、そう言ったのは、美琴の気持ちを和らげる為だった。


(美琴が好きだから…ーーーー幸せを祈ってる)

あの時に思った気持ちに偽りは無い。




『律季…好きだったよ』

再会したあの日、美琴が泣きそうな笑顔でそう言った。

好き“だった”。

(美琴の中では、すでに過去の話になったんだな…ーーー)



あのまま上手くいっていたら…俺達はどうなっていたのか。

いつか来る別れに、自分はどう対応したのだろう。

あの幸せな時間から、抜け出せたのだろうか。


――――そんな戻らない日々を…、

もしもの未来を考えたところで…意味なんてないのに。




(新太が、邪魔しなかったら…ーー美琴は、離れていかなかった?)


そんな考えと同時に、心の中ではそれは違うと打ち消す自分がいた。


(いや、遅かれ早かれ…別れることにはなっていたはずだ)


だから決めたんだ。

美琴には、絶対に幸せになってもらいたいから…、

俺は美琴を諦める努力をすると――――。


それなのに、上手くいかない。


感覚が麻痺しているみたいに、以前(まえ)の自分に戻りきっていない。



「あいつらが早く付き合えばいいのに…」

新太と別れて歩き出しながら、律季は呟く。


(美琴の笑顔を見れたら吹っ切れるきがするのに…ーーー。)

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