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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
16/250

新太

「今日デートだったんだって?」

美琴が当然のように新太のベッドに寝そべりながら言う。


「なんで美琴が知ってんだよ」

椅子に座っていた新太は、そんな姉を見ながら諦めたようにため息をつき、言う。


「え、律季から聞いた」

美琴が雑誌を読みながら、何気なく答える。


「へぇ、例の勉強会、やったんだ?」

複雑な気持ちを抑えて、新太は美琴に尋ねる。


「新太?まさか、仲間外れになって拗ねたの?」

美琴が笑って言うのを見ると、新太はますます惨めに感じた。


「どうせ、俺が居たら美琴は帰ってただろ?」

「そうだね、帰ってた」


どこかで否定してもらえると期待していたのか、

新太は、美琴が即答したことにショックを受けていた。


「私達が姉弟だと知られたら、新太だってめんどくさいでしょ?」


「…うん」


「ホタルちゃんだって、傷付くと思うし」

美琴のその言葉に、新太はつい抑えきれなくなってしまった。


「なんで?」

新太がうつ向いたまま、低い声で呟く。

「何が?」

美琴は首をかしげて、新太の様子を伺う。


「美琴は…他人の(こと)は気にするんだ?」

(俺のことは、全く気にしないくせに…)


「なんか新太、最近変だよ?ーーー彼女と喧嘩でもしたの?なんならお姉ちゃんが相談にのるよ?」


新太の言葉の真意が読み取れず、

美琴はベッドから起き上がると、椅子に座っていた新太のもとに歩み寄り、頭を撫でようとする。


「やめろって!!」

そんな美琴の腕を、新太は乱暴に振り払う。



「ごめん」

美琴は、振り払われた右腕を左手で押さえながら、謝る。


「いや、ごめん…」

新太もすぐに、やり過ぎたと反省した。


「ーーーでも、大丈夫だから放っておいて」

「そうだよね、ごめん」

美琴はそう言うと、新太の部屋から出ていく。



新太は、美琴が出ていくと、ベッドにうつ伏せになった。


(美琴のにおいがする…)


さっきまで美琴がいたぬくもりを感じながら、

新太は今日のデートを思い出すーーーー。







「ごめん…」

蛍の部屋で、良い雰囲気になったのに、

キスをしても、その先には手を出せずに新太は謝った。


「なんで?蛍のこと、好きだよね?」

蛍は、潤んだ瞳で新太を見つめる。


「好き…だよ…」

新太は、蛍を優しく抱き締めながら言う。


「新太、もういいよ…」

新太の腕をそっと押し退けながら、蛍が静かに言った。

「別れよっか、私達…」




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