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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第二章】
156/250

竜と新太

「お、新太じゃん!?」


一人で電車を待っているところに、

偶然中学時代のクラスメイト、立川竜が声をかけてきた。


「久しぶりだなー、元気だった?」

明るい竜のテンションが、新太にはきつい。


「って、元気ないなー?どした?」

「いや、別に…」

新太はそれだけ答えると、また黙る。

口数の少ない新太のことをよく知っている竜は、気にも止めずにまた話し出す。


「そういえば、美琴!留学したんだって?」

どこから聞いたのか、竜が突然美琴の話をする。


「お前、一緒に行かなくて良かったのかよ?」

からかうように言う竜に、新太は黙って睨み付ける。


「わ、怖っ。―――んだよ、冗談だろ?」

新太に睨まれて、竜は慌ててそう言うと、

また懲りずにヘラヘラと話し出す。


「でもさ、お前らが一緒に居ないの、なんか変だな」


「…―――」


「ずっと一緒だったじゃん、二人」


(それは…中学までの話だ…――――)

心の中で新太はそう言い返す。




高校に入ってから、二人の関係は変わってしまった。

あんなにずっと一緒だったのに。

あんなにお互い想い合っていたのに…。


――――美琴はあっけなく離れていった。

新しい友達、仕事、彼氏…。

いつまでも美琴に依存していたのは、自分だけだった。


美琴を抱いても、それは心を繋ぎ止める(こと)にはならないのに。

そんな事をしておきながら、いなくなるなんて微塵も思わなかった自分…。

ずっと一緒に暮らせると…思っていた自分は本当に愚かだ。



(どこまで美琴に甘えていたんだろう…)



美琴が家を出て、高校を休学し、学校推薦でアメリカ留学。

そうやって自分との関わりをすべて断ち切っても。



それでもまだ…美琴のことを想う自分に、嫌気がさす。


「美琴は本当よな、スケールが違うっていうか」

何も知らない竜が、美琴の話をする。

「どんどん手の届かない存在になっていくよなー」




“手の届かない存在”…―――――

(そうだよな…最初から…ーーーー手を伸ばしたらいけなかったんだ)

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