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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第二章】
154/250

二年生の春

――――…あの日に俺が美琴(きみ)を抱いたりしなければ…。


君はこんな選択をすることもなかったんだよね…――――?


許してもらえるとは思ってない。

でも凄く…ずっと後悔してる。


一番君を分かっていたはずの俺が、自分の身勝手で…―――。


君の一番嫌いな方法で、君を傷付けたこと…――――。








雪が溶け、春になり、新太は高校二年生になっていた――――。




「新太」

「あ、斗亜…」


同じクラスになった斗亜が教室に来ると前の席に着く。



「進路、決めたかよ?」

斗亜が言うと、新太が春休みに渡されていた進路希望用紙をカバンから出す。


「国立大学かぁ…ってことは進学特進クラス?」

「まぁ、入れれば…」


「俺は私立大学だから、じゃあ来年は違うクラスだな」

「そっか、斗亜は私立か」


「国立なんて、俺の偏差値じゃ無理だろ…」

斗亜が笑いながら言う。



「おはよー新太、斗亜」

笑顔で二人に声をかけてきたのは、同じクラスの蛍だ。


「おはよ」

新太が蛍に挨拶を返す。

「何の話?蛍も混ぜてよ」


「あ?ウザいわお前、女子の群れに戻れ」

鬱陶しそうに、斗亜が蛍に言う。


「斗亜のイジワルー」

蛍が頬を膨らませる。

「相馬さんとはずっと一緒にいたくせに!!」


「―――あ、ごめん…」

言ってから蛍が、目の前にいた新太に謝る。



「ん?なにが?」

新太が気に止めていないように、蛍に微笑む。



なぜ蛍が新太に謝ったか、新太は分かっていた。

二年生から居なくなってしまった美琴を、新太に思い出させてしまったからだ。


「蛍は本当に一言余計だよな」

斗亜が蛍を睨む。


「だって…」

(斗亜は相馬さんとずっと一緒だったから…―ー―)


蛍はこれ以上美琴の名前を出さないように気を付けようと口を閉ざす。






二年生になると、クラス分けの名簿に“相馬美琴”の名前はーーーー…どこにもなかった。



彼女は、この高校から…姿を消したのだ。

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