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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第二章】
144/250

偏愛

「美琴?」

律季の家から帰ってきた美琴は明らかに元気がなかった。


夕御飯を作りながら、美琴はさっきから一言も喋らない。

心配になった新太が、キッチンへと向かう。



「どうしたの?…律季と喧嘩でもした?」


(出掛けていく時はあんなに幸せそうだったくせに…)


「新太…」

料理の手を止めて新太を見上げる美琴は、目に涙を浮かべていた。


「美琴!?本当にどうしたの?」

突然泣き出す美琴に、新太は戸惑いながら尋ねる。



「私…もうだめかも…」

そう言うと、ポロポロ涙を流す。

「―――きっと律季に、愛想つかされたよ…っ」


(なんでそうなるんだよ?――――全く理解できない…)


新太は戸惑いながらも、とりあえず泣きじゃくる美琴を抱き締めて、落ち着かせるように背中をトントンと優しく叩く。




「また、出来なかったの…」


「へ?」


「エッチ、最後まで出来なかった…」

美琴の衝撃的な発言に、新太が赤面する。


(突然何を言い出すんだ、美琴(こいつ)は…――――)



「なんであんな痛いのに、みんな平気なの…?」


(え、それを男の俺に聞く?)

新太は心の中でたじろぐ。



「美琴…、大丈夫だよ、律季はそんな事で美琴から離れたりしないから」


新太は動揺しながらも、美琴を慰める言葉を探す。


「―――新太…」

美琴に潤んだ瞳で見つめられ、新太はクラッと目眩のような感覚に襲われる。


(――――美琴に手は出さない…)

抱き締めていた手を離して、新太は強く理性を保つ。


(そうしないと美琴に嫌われる…)


いつものように、新太は自分の気持ちに蓋をする。


それなのに、次の瞬間…新太の理性は崩壊した。



「なんで我慢できないのかな…私、律季のことそれほど好きじゃないのかな…」

美琴が吐いた弱音を、新太はなぜか真に受けた。



「美琴…」

顎に手を添えて、新太は美琴を見つめる。


「え、ちょっ…」

驚いている隙に、新太は美琴の唇を奪う。


「んっ、新、太…」

無理やりな方法で、新太は美琴の口に舌を滑り込ませる。




(美琴が悪いんだよ…、俺にそんな事言うから…――)


そんな半端な気持ちで律季(あいつ)と付き合うんだったら、

俺は美琴を渡したりしない…――――。



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