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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第二章】
128/250

それぞれの想い

「律季…なんだって?」

携帯電話に律季から電話が掛かってきたが、

自分ではなく母親と代わって欲しいとしか言わなかった律季に、新太は苛立ちながら舞子に尋ねる。


「あ、うん。美琴が熱出したみたいで、今日は泊めますって」

携帯電話を新太に返しながら、舞子が心配そうに言う。

「なんで急に熱なんて…。朝は元気だったわよね?」



「俺、迎えに行ってくる」

「バカね、外寒いのに歩かせる気?悪化するでしょうが」


「でも…」

(でも…律季の家に泊めるなんて、嫌だ…ーーー)

新太は向ける場所の無い苛立ちを、ギュッと手の中に握り締める。



「律季くん、しっかりしてるし。大丈夫よ」

舞子がそんな新太にクスッと笑う。

「本当に、新太は美琴が好きなのねー」



(好きだよ…)

新太は舞子に何も言わずに自分の部屋へと戻る。


(大丈夫って何が?――――俺は全然大丈夫なんかじゃないのに)








美琴はふと、朝の5時に目が覚めた。

「おはよう…」


「律季、ごめん…」

ベッドから起き上がろうとした美琴は、

ベッドにうつ伏せで寝ていた律季を起こしてしまい謝る。


「寝れてないでしょ?私今退くから…―――」

「大丈夫、ちゃんと寝てたから」

毛布にくるまったままで、律季が微笑んで言う。

美琴はそんな優しい律季に、胸がぎゅっとなる。


(嘘。目にクマできてるじゃん…)


「どこでも寝れるのが俺の特技」

「…ありがと、大好き」

律季に抱きついて、美琴が言う。


「私、身体も楽になったし一旦家に帰るね」

律季に抱きしめたまま、美琴が言う。

「え…今から?」


「大丈夫、一人で帰れるから。律季はまだ寝てて?」

「今から寝たら遅刻しちゃうよ」

笑いながら律季が言う。


「じゃあ、起こしにまた戻るから」

美琴が言うと、律季から体を離す。


「本当、ありがと」

着替えた美琴が、そう言って部屋から出ていく。



(何してんだ…俺は…ーーーー)

そんな美琴を見送ることも出来ず、律季はそのまま眠りについた。



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