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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
118/250

美琴の家

「ただいまー」

玄関を開けると、キッチンから舞子が顔を出す。

「あ、お帰り美琴、新太―――あら?」

美琴と新太の他に、見たことのない男の子が立っていた。


「あ、菱川律季です。美琴さんとお付き合いさせてもらってます」

律季が軽く会釈する。

「ちょっと律季、やめてよっ」

美琴が照れたように言う。


「あらぁ、美琴の彼氏くん!?初めまして、二人の母です」

舞子が笑顔で挨拶する横を通って、新太は一人自分の部屋へと階段を上がっていく。


「新太?」

舞子が様子をうかがうように二階(うえ)を見上げる。


「あ、律季私の部屋こっちだよ」

美琴は、気にせず律季を連れて二階に向かう。


「お邪魔します」

律季が舞子に言うと美琴の後ろをついていく。


「ごゆっくりー」

舞子が笑顔で言うとまたキッチンへ戻る。




「おばさんいるんだ、ビックリした」

美琴の部屋に入ると律季が息をつく。

「たまに仕事切り上げて帰ってきてるよ。まぁほとんど仕事で居ないかな」

美琴が鞄を置きながら言う。



「で、ここが美琴の部屋かー」

律季が部屋を見回して言う。


「うん、隣が新太の部屋だよ」

美琴が言いながらベッドに座る。


「へぇ…」

律季は返事をしながら、さりげなくベッドに座った美琴を横目で見る。


(美琴は、本当に無警戒なんだな…)


そしてそれは自分にだけではなく、新太にもそうなのだろう。

なんとなく想像できて、律季はまた苛立ちが沸き起こる。



「そういえば、クリスマスの話しようよ!私雑誌買ったんだ、これこれ!」



そんな律季の思いには気が付くはずもなく、

美琴はベッドの奥に置かれていた雑誌を取ろうと、

座ったまま手を伸ばして仰向けになる。


「ねぇ、美琴」

そんな体勢の美琴に、律季は距離を詰める。


「ん?どうしたの?」


「誘ってるの?それ…―――」

律季が言いながらチュッとリップ音を立てて美琴の唇にキスをする。


「え、ちょっと…律季?」

突然キスされて動揺した美琴は、慌てて起き上がろうとした。

そんな美琴の腕をベッドに抑えたまま律季が微笑む。


「美琴、かわいい…」


美琴の頬が紅く染まる。


(美琴のこんな可愛い表情(かお)を見れるのは…俺だけだ)






ガタンと音がして、

新太はなんとなく美琴の部屋がある方の壁を見る。



母さんもいるし、さすがに律季も手は出さないはず。


それでも、美琴が自分以外の異性を家に連れてきただけでどしようもなく苛立ちが後から溢れてくる。


(これからも…こんなことが続くなんて、絶対に嫌だ…)


「くそっ」

机にあった本を、思わず壁にぶつける。


(美琴…――――)







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