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律季の心中
「美琴、今日家に行っても良い?」
律季が放課後に美琴のクラスに来ると言った。
「良いけど、掃除とかしてないし散らかってるよ?」
美琴が言うと、
「え、律季来るの?」
いつのまにか新太が律季の背後に立っていて、不満そうに言う。
「新太には言ってない」
律季が振り返りながら睨んで言うと、
「いやでも、俺の家でもあるし」
新太が律季に負けじと睨み返す。
「帰ろ、美琴」
新太が当たり前のように言う。
(中学の時は…こんな感じで帰っていたのか…)
当然のように新太が美琴の隣に立ち、美琴も気にすることもなく新太と歩き出す。
「律季どうしたの?帰ろー?」
美琴が気がついて振り返る。
律季は嫉妬でイライラしながら美琴と新太の間に入る。
「わ、どしたの律季?」
美琴が新太との狭い間に入ってきた律季に驚いて言う。
「別に…」
(美琴が好きなのは、俺のはずなのに…)
律季は美琴の手を握る。
(どうしてこんなに苛立って…焦っているんだろう…新太の存在に)
美琴も握り返すと、律季に微笑みかける。
そんな美琴に微笑み返しながら、律季は考えていた。
(なんだろう…この気持ちは…ーーーー)




