中学からの仲間
「蛍っ」
蛍は、朝から同じクラスの女子達数人に囲まれた。
中学から一緒で、仲も別に悪くはない。
「どしたのみーちゃん、そんな怖い顔して」
蛍と仲の良い科狩七星が、蛍より先に尋ねる。
「今朝の話、知ってるでしょ?」
みーちゃん、こと三河美佐子が怒ったように蛍の座っていた机に手をつく。
「瀬戸くんと、律季、相馬さんと登校してきたって」
「あぁ…、それ蛍に言うの?」
七星の声が少し低くなる。
美佐子の顔が少しだけこわばった。
「だ、だって、蛍…瀬戸くんとも、あ、ほら…律季とも付き合ってたし。あんなモデル気取りの女に盗られるの、うちらも黙ってらんないもん」
「蛍とお似合いだったのに…」
「そうだよ、あんな見た目だけの女より蛍のがかわいいし」
「相馬美琴、ちょっと調子に乗りすぎじゃない?ちょっと忠告しに行こうよ」
「止めて、みーちゃんもみんなも…」
「蛍?」
「律季にフラれたのは、相馬さんのせいじゃないし。新太と別れたのは…私も納得してるから」
「蛍…なんて良い子なの…」
美佐子が美琴を庇ったのだと余計に変な勘違いして、蛍の心の広さに感激する。
「やっぱり蛍だったら良かったのにね」
「うん、かわいいし、性格も良いし…」
「蛍とならって、皆諦めつくのに」
ブツブツ言いながら、美佐子達は自分たちの場所に戻っていった。
「蛍…大丈夫?」
「七星…ありがと」
七星が傷の癒えていない自分を気遣ってくれる、
それだけでも蛍は救われた気分だった。
「みーちゃん達も、悪気はないんだと思うよ」
美佐子達を見ながら、七星がため息をついて言う。
「分かってる」
蛍は小さく笑って言う。
中学から同じ仲間ならまだ許せる。
でも高校から入ってきた余所者に、あの誰にも執着しない律季をあっさり奪われた。
それどころか、
律季と同じく人気の高い斗亜を友達として側におき、
さらにはイケメンでひそかに人気の編入生、新太までが蛍と別れて彼女を好きだという。
持ち前の美貌で学年の王子三人を独り占めして、涼しい顔をしてすましている。
そんな編入生の相馬美琴は、
中学からの女子達からしてみれば、“邪魔者”、“疫病神”だ。
(――――相馬さんの存在は、確かに律季を変えたわ)
蛍は授業中に、外を眺めて思う。
(新太も…私と別れたらなんだか前より男らしくなった)
グラウンドにいる新太は、キラキラ輝いて見えた。
相馬美琴に、私は何も敵わない。
あの子は、何でも持ってる。
でも私は…――――――。




