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さまよう
――――新太のことキライになったなんて、嘘だよ。
――――嫌だ、新太…置いていかないで…。
――――謝るから…だから。
「俺も、ごめんね」
夢の中で背を向けてどんどん歩いていってしまう新太に、
美琴は謝る。
すると、新太の声が返ってきた。
(――――これは…夢?)
耳にかけられた自分の髪…、そっと唇に触れた柔らかな感触。
(――――新太?)
美琴は、夢と現実をうとうととさまよう。
キスをしたあと、新太は美琴をじっと見つめていた。
そのあと、新太は美琴の机の上にあった数学の問題集を持って、そっと、部屋を出る。
パタンとドアの閉まる音がして、美琴は口許を手で押さえる。
(新太…キスした?)
それは、美琴に衝撃を与えた。
全く想定外の展開に思考が追い付かない。
(え…?―――今のは…どこまでが夢?)
でも唇に残る、感触が現実だと思い知らせる。




