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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
11/250

モテる男

斗亜(とあ)ー」

朝、いつもどおり自分のクラスに入ろうとすると、

律季に声をかけられる。


「おぉ、律季(りつき)


「お前さ、相馬さんと付き合ってるんじゃなかったの?」

突然、律季に思いきり触れられたくないところを突かれる。


「律季…それ今聞いちゃう?」

涙目で、斗亜が律季に半笑いで言う。


「俺もさぁ、仲良くなりたいなーと思って!相馬さんと」

律季は無邪気な笑顔で言う。


「お前は同じクラスの女子と仲良くなれよ」

斗亜は、律季の口から美琴の名前が出てきて、焦って言う。


「えー、だってうちのクラス編入生の女子いないから代わり映えしないしさぁ」

斗亜の提案も、あっさりスルーされる。


「ーーー美琴は、ダメだかんな」

(律季に紹介なんてしたら…絶対(ぜってー)喰われる)


「なに、警戒してんのか?」

「当たり前だろ…」

(とりあえず、この学校の可愛い子はみんな喰い尽くしただろ律季(おまえ)…)



この「私立 南青(なんせい)学校」は、

中等部から高校までの中高一貫校で、有名な進学校でもある。


中等部から人気者だった律季は、去年の生徒会長でもあり、

背は175㎝と、斗亜よりは低いが、

明るく優しく、なんといっても爽やかな好青年で…モテた。


昔から律季と仲の良い斗亜には、律季のその優等生な「腹黒さ」は完璧で、

不器用な自分には到底出来ないと思った。


斗亜は背が高く、茶髪にピアス…顔も強面で、律季とは見た目が違いすぎた。

しかし斗亜もまた、「律季の親友」という肩書きもあってか、モテた。


斗亜と律季の違う点、それは、

斗亜は…律季のように割り切って女子と付き合わなかった。


ただ、純粋に…好きな()と、恋がしたいと思っていた。


一見、優等生な律季と、チャラ男の斗亜。


実は中身が真逆であるということも、ギャップにやられる女子には魅力的だった。






「あ、新太(あらた)!おはよーさん」

廊下で斗亜と話していた律季は、新太を見つけると声をかけた。


「はよ」

新太が二人に挨拶する。


新太もまた、この学校に編入してきた生徒の中で一際目立っていた。


背も高く、本人は無自覚だが、かなりのイケメンだった。

あまり喋らないし、笑わないから、皆なかなか話し掛けれずにいた。


律季がそんな新太に声をかけたのも、きっと“利用”するためだと、斗亜は感じていた。


「新太ー、聞いてくれよ!斗亜がさぁ、相馬さん独り占めするんだぜー」

律季が新太に嘆く。


「え…」

新太は、律季の言葉に固まっていた。


「新太、律季(こいつ)の話なんて真面目に聞かなくていいから!すげぇテキトーだからさ」

斗亜がすかさず新太にフォローする。


「なんだよ斗亜、本当のことだろ?」

律季が怒ったような口調で言う。


「だから律季(おまえ)に紹介なんてしたら、美琴のこと喰うだろって言ってんの」

斗亜は必死で言う。


新太は、律季が肉食男子(そんなヤツ)だと初めて知り、驚いて目を見開いた。


斗亜(おまえ)さぁ…俺のこと、何だと思ってるんだよ」

新太が地味に驚いていることにも気づかず、

律季は話を続ける。


「チャラ男、だろ?」

斗亜も律季といつもの言葉のやり取りをする。


「ひでーなそれ」

律季が傷付いたふりをする。


「事実だろーが」

斗亜はバッサリ吐き捨てる。


「チャラ男に言われたくない!」

見た目チャラ男である斗亜が、

中身がチャラ男の律季に言われる。



「律季、とりあえず教室行こうか」

間に入るように、新太が律季に声をかける。


「あ、やべ…ホームルーム始まる!じゃあ斗亜、また来るからなー」

新太の後ろを歩きながら、律季が言う。


「来るんじゃねーよっ」

斗亜は律季に言う。


(本当(マジ)…来るなよな…美琴は、絶対渡さねー)



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