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帰り道
「・・・・」
「・・・・」
帰り道、新太は一言も話さなかった。
雫は、それでも幸せだった。
――――新太の隣を歩くだけで幸せだった。
「じゃあ、ここで」
新太がコンビニに行く道と雫の家へ行く道の分岐点で足を止める。
「あ…うん」
雫が新太に言われてここでお別れだと気づく。
「新太、ありがとね」
「うん」
雫のお礼の言葉に、新太が寂しそうに微笑むと右手のコンビニへの道を歩いていく。
雫がそんな新太を見つめていると、軽く手を挙げて振った。
(……新太)
雫はそんなさりげない仕草にドキッと胸が高鳴った。
(――――そういうの、要らないんだってば…)
「ばか」
(なんで…美琴なの?――――私の方がずっと前から新太のこと好きなのに)
雫は小さくなった新太の背中に呟くと、左手の自宅への道を歩き出す。
(忘れなきゃって分かってるのに…悔しい…)




