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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
108/250

三人の食卓

「彼氏とどうなの?最近」

美琴の部屋で、雫が問い質す。

「あ、クリスマス…旅行誘われたの、忘れてた」

雫に聞かれて、美琴は思い出す。



「いいねー旅行?羨ましいー!アリバイなら任せて!!」

雫が張り切って言う。


「え、アリバイ?」

「え、だって親に彼氏と旅行って言えなくない?普通」

「そうなの?」


「いや、美琴なら言えるか」

「どういう意味よー?」

美琴が雫をふざけて睨むと、雫が笑う。


「でも良かったね、順調みたいで」

「―――そう、かな」

雫の言葉に、なぜか素直に頷けない自分がいた。


その時、一階(した)からカチャカチャと食器の音がする。

美琴は、新太だとすぐに分かった。


「あ、そろそろ帰らないと夕御飯の時間だよね?」

雫が、時計を見て立ち上がる。


「てか雫、一緒に食べてってよ!」

咄嗟に美琴は、雫を引き留めた。


「え?」

「今日お母さんも残業らしいし、パパも出張で居ないから寂しいもん」

美琴は早口で言い訳を並べる。


「え、新太がいるじゃん?」

雫が不思議そうに言う。


「…―――そう、なんだけど」

(だから…二人きりになりたくないんだよ…)




雫と美琴は、階段を降りてリビングに入る。

「新太、お邪魔してます」

キッチンにいた新太に、雫が笑顔で声をかける。

「木下…来てたんだね」


「夕御飯、一緒に食べてっても良い?美琴が誘ってくれたの」

雫がそう言いながら、新太の元へと歩み寄る。

「良いけど」

新太は、支度されていた料理を運びながら答える。


「私、なんか手伝おうか?」

雫が新太に言うと、

「ううん、雫は座ってて!私今準備するから」

美琴が答えながらキッチンに向かう。


「鍋なら、…もう温めたよ?」

皿を並べながら新太が言う。

「………ありがと」

やることもなく、美琴は新太を見ずにお礼を言うと席についた。





「――――ご馳走さま、じゃあ私帰るわ」

食べているときは美琴も新太も静かで、

雫は異様な空気に触れることもできずに交互に二人をチラチラ見ては食べた。


「あ、雫…夜遅くなっちゃったから送るよ」

美琴が慌てて言う。



「そしたら美琴が帰り危ないでしょ?良いよ、大丈夫だから」

雫は、苦笑いで言うと玄関へと向かった。


「木下、俺送るわ…」

「え?」

雫が靴を履くと、スッと隣に来た新太が靴を履きながら言う。

「コンビニ、行こうと思ってたし」

新太が真顔で言うと、雫が口許をほころばせる。

「あ、じゃあそこまで…お願い」

「うん…」


「じゃあね、美琴!またね」

「うん!またね」

雫に笑顔で手を振ると、美琴は食器を洗って部屋に戻る。


(なんだろ…胸がムカムカする…―――)


その時、携帯電話が鳴った。

「はい」

『もしもし、美琴?今大丈夫?』

「うん、どうしたの?」

『いや、別に用はなかったんだけど…』

「なにそれっ」

律季の言葉に、美琴はフフっと笑って言う。


『―――なんか、美琴の声が聞きたくなったから』

律季の言葉に、ドキンと胸の鼓動が強く打つ。

『美琴?』


「うん…律季、私も声が聞けて嬉しいよ?」

美琴は胸がポカポカするのを感じながら、ベッドに横になって話す。


「今日ね、律季と別れてから中学の時の友達に会ってね、さっきまで一緒にごはん食べてたんだー」


『へぇー、良いね!!今度俺も行きたいな』

律季の言葉に美琴は、しまったと思った。


「でも律季の家からだと遠いから…」

『美琴、それ関係ないから』

「え?」

『遠くだって、構わないよ?美琴と一緒に美琴の家でごはん食べれるなら』


(律季…)

――――律季はいつも私を想ってくれてる。




(―――――それなのに、私は…。)



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