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雫と美琴
「美琴」
その日、律季と近くの駅で別れて一人で歩いていると、声をかけられた。
「雫…」
新太のことを好きだと知っているからか、
美琴は若干気まずかった。
「久しぶりだね、こないだは学祭呼んでくれてありがとね」
雫は同じ駅で降りると、笑顔で話し出す。
「美琴、ベストカップルだったもんねー!目立ってた」
「あ、あれは…律季が出るって勝手に…」
「彼氏、カッコイイ人だったねー。お似合いだった!!」
「あ、ありがと」
美琴は、ぎこちなく微笑む。
「新太の…彼女、可愛かったね」
雫が前を向きながらボソッと言う。
「―――別れた、らしいよ」
美琴は雫に伝える。
「え、なんで?」
驚いた雫が、美琴に尋ねる。
「………さぁ」
美琴は、言えなかった。
(ずっと私が好きで…私と血が繋がってないとわかったから別れたなんて、言えるわけない)
美琴の表情を見て、雫はなんとなく勘づいた。
「あ、今日美琴のうちに行っても良い?」
雫が明るく話を変える。
「え…?」
美琴は雫の顔を見る。
「ダメ?」
雫が上目遣いで言うと、美琴は笑顔を作って頷く。
「良いよ…」
(なんで…私…モヤモヤしてるんだろうーーー)




