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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
104/250

入れ違い

「おはよう」

制服に着替えて階段を降りると、美琴は新太に声をかけられた。


「行ってきます」

美琴は、黙って横をすり抜け、舞子に言いながら玄関へと向かった。


「あら、美琴朝早いのねー。」

舞子が、バタンと閉まった音に気付いてキッチンから新太に話し掛ける。


「あ、新太!美琴、お弁当忘れていったから後で届けてあげて?」


新太は、美琴が先に出ていった玄関から、お弁当箱に視線を戻す。


(――――やっぱり避けられてる…か)

昨日『大キライ』と言われて、新太はショックだった。

勇気を出して挨拶したものの、美琴は目すら合わせてくれなかった。




「美琴、なんか今日不機嫌じゃね?」

斗亜が美琴の前に座ると、顔を覗き込む。

「別に、そんなことないよ」

美琴は、普通に言ったつもりだったが、斗亜はやっぱりどこか不機嫌に見えた。


「でも、ま、体調は良さそうだな、昨日よりは」

あえて触れずにそう言うと、ちょうど律季が三組の教室に入ってきた。


「おはよう」

「律季、おはよ」

美琴は、笑顔を作る。


「良かった」

その笑顔に、律季が言う。

「え?」


「いや、何でもない」

律季がそれ以上なにも言わない。

「?」

美琴は、頭のなかで考えていた。

(何が…『良かった』のかな?)


そして美琴は、昨日のことを思い出す。

『いいから、大丈夫だからっ』


保健室に付き添ってくれようとした律季の腕を振り払った自分…――――。




「あ…昨日は」

謝ろうとした美琴の言葉を、律季は遮るように話し出す。

「あ、それよりさ、来月のクリスマス土曜日だし、どこか出掛けようか?」


「クリスマス…?」

美琴が聞き返す。

「お、良いね!どこいく?」

なぜか、斗亜がノリ気で言う。


「お前には言ってない」

律季はすさかず斗亜に言う。

「ひでぇ!」


「ごめん、斗亜もーーー行きたいよね…?」

斗亜と律季のやりとりを、美琴は申し訳なく思いながら苦笑いで言う。


「え?あ、うん…でも、遠慮しとくわ。二人の邪魔しかしないからさ」

斗亜は、冗談だったのに美琴が気遣ってくれて慌てて言う。


「そうだよ、斗亜がいたら邪魔にしかならないよ」

「だから、お前ひでぇ!」





「ちょっと…考えさせて」


「え?」

「美琴?」

美琴の言葉に、斗亜と律季が美琴の方を見る。


「あ…――ほら、仕事とかあったか確認してみないと!」

美琴は慌ててそうつけ加えた。


「分かった、じゃあ分かったら、教えて」

律季が微笑んで言うと二組に戻っていく。

「うん」


律季が居なくなると、美琴は斗亜に言う。

「斗亜…」

「ん?」


「私、サボるね」

「え、お前出席日数大丈夫かよ?」

「多分!」


「多分…って」



美琴が行ってしまうと、クラスの女子達が斗亜を取り囲む。

「ねぇ、斗亜くん!」

「あ?」


「相馬さんの噂聞いた?」

「噂?」


「昨日、律季くんと瀬戸くんが相馬さんを巡って喧嘩してたらしいの!」


「え…あり得ないだろ…!?だって新太は…」

(蛍と付き合ってんだろ?)


「それがね!瀬戸くん、相馬さんのことが好きだったんだってー」

「は?なんだよそれ、それガセだろ」

斗亜は、全く信じられずに笑い飛ばした。



「本当だよ、斗亜」

そこに、噂の新太が現われた。


(は?今こいつ…『本当』って言った…―――?)

「新…太」


「これ、美琴の弁当。忘れ物」

(『美琴』?名前呼び捨て?――――てか、なんでこいつが美琴の弁当持ってるんだ?)


訳もわからず、渡された弁当箱を持ったまま立ち尽くす。


「あっ、おい!どういうことだよ、これ!」

あっさり行ってしまう新太に、慌てて斗亜は問い掛ける。

「………」

しかし、新太は何も言わずに微笑むと三組の教室から出ていった。



「なにあれ、めっちゃかっこいいんだけど!」

「てか、瀬戸くんドンドンかっこよくなってきてない?」

「分かる!前よりなんかイキイキしてるっていうか!?」


クラスの女子達が新太が居なくなると、騒ぎ出した。


(いやいや…、美琴は律季と付き合ってるんだぞ?)

斗亜は、美琴のお弁当箱を持ったまま、新太の背中を見つめていた。

(二人の邪魔を…するつもりなのかよ…、新太…)



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