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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
101/250

美緒の恋物語(Ⅴ)

――――いっそのこと…記憶喪失のまま、忘れていた方が良かったのかも…しれない。


――――あの日のことは。





「雨の中、急に来てしまって悪かったね」

流暢な日本語を話す、ジョージの父親に会ったのは、

あの日が初めてだった。



「いえ…」


「君が、ジョージと付き合ってる、日本人?」

ジョージと同じような顔で微笑むのに、なにか違和感があった。



「はい…初めまして、私の名前は…―――」


「あぁ、要らないよ自己紹介は。――――これを」

私の名前を聞くこともなく、テーブルの上に、茶封筒を置いた。


「―――なんですか…これ?」

―――嫌な予感しか…しなかった。


「手切れ金…と言うのかな、日本語で」


「え…」


「息子と別れてくれ、あの子には大事な将来がある。」

―――目の前が真っ暗になった。

「うちの会社の規模を知ってるかな?」


彼は確かにまだ19歳で…これからだ。

それに…どうやら大きな会社の大事な跡取りのようだった。



――――最初から…私なんかが関わってはいけない人だった。



「(父さん、彼女に何話してたっ!?)」

ジョージがなぜか私たちのいた店までやって来て、父親に早口の英語で話し掛ける。


「(何って別に、口説いたりはしてないさ)」


―――早口じゃないんだ…、私と話すときだけゆっくりだっただけで…。



「大丈夫?ミオ?」

ジョージが心配そうに言うから、私は精一杯明るく笑った。

「ん?何が?」





――――ジョージ、ありがとう。

この(ばしょ)で貴方に会えて…幸せだったよ。



そして、私は…逃げるように日本に帰ってきた。

ジョージには…なにも告げずに。


――――私には、居場所なんて無い。


日本にも、アメリカにも…。


誰の側にいることも許されず、これからも私はずっと一人だと思っていた。




それから一ヶ月後…、

お腹にあなたの存在を知るまでは…。









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