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再会
「あら?美琴ちゃん…?」
予定の時間より早く、美琴が事務所に顔を出したので、美緒は驚いた。
「社長…」
美琴の泣きはらした顔は、とても綺麗とは言えなかった。
「聞いたのね…真太から」
美緒は、優しく美琴を社長室に招き入れた。
「どうしてパパのことを…」
美琴は不思議そうに美緒を見つめる。
「それは…私が、あなたの母親…だから」
美緒は、緊張した面持ちで伝えた。
真太が伝えたのは、記憶を取り戻した母親が美琴に会いたがってるということだけだった。
「え?社長…が、ママ?」
明らかに動揺しながら、美琴が言葉に出す。
「今までごめんね…?美琴…」
すまなそうに謝る社長に、美琴は何も言えなくなった。
「記憶を喪って…今の今まで私は、大事な娘の存在をずっと忘れていた…」
「ママ…?」
「真太から聞いた?…あなたのパパの話」
美緒が静かに問いかける。
「ママが好きだった人との子供なんだって…」
目の前にいる社長が、ママだと認識してもまだ信じられずに、美琴は質問に答える。
「ふふ、そうね…。好きだった。」
美琴の答えに、美緒は寂しく微笑んだ。
「でもね、あなたがお腹にいることは…言えなかったの」
美緒はそう言うと、雑誌を手に取った。
「あなたのパパの話、しても良いかしら…」




