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俺達の戦いはこれからだ!

「起きたッスか」


 ぼやける視界を目を細めて、ゆっくりと視認する。

 真ん前にはフ‐ドを被ったままこちらをのぞき込むシトリィの顔。


「近ェよ」


 その距離は最早鼻と鼻がひっついていた。

 吐息が鼻孔をくすぐる。ミントの香りがした。


「うん、いつものタッきゅんっスね。よかったよかった」


 彼女はそう言うと顔を離す。このまま目覚めのキスでももらえるのかと、少し名残惜しかった。


「なんだよ、目覚めのキスでもくれるのかと」

「う‐ん、それはまた二人っきりの時っスね。今はさすがに恥ずかしいっス」


 驚いた。彼女にも羞恥心というものがあったのか。野暮ったいロ‐ブの下は露出高めのレザ‐だというのに。


「あ‐、起きたならいいか」


 声のする方を向けば、アッシュが手を挙げて気まずそうに目を逸らす。

 その傍らには顔を真っ赤にし今にも頭から湯気を噴出さんとするツヴァイの姿が。


「ななななっんとっぷらちなっ」

「プラチナ?」

「ふらちなっ。そそそそういうのは結婚した者しかだなっ」

「あ‐……」

 初心だろ、嘘だろ。貞操観念化石かよ。

「お嬢さん、俺達はれっきとした夫婦なんだ」

「「嘘だ!?」」

 なんでリ‐ドも驚くんだよ。

「もちろん嘘だ」

「よくもだましたな!」

「いやあ、いいんだいいんだ、気にしないでくれ。ツ‐ちゃんはそのまま強く生きてくれ。箱入り娘だったんだな、いいぞいいぞ、大和撫子」

「貴様は何を言っているんだっ、私が悪かったみたいに言うなっ、ツ‐ちゃんって呼ぶなっ」

「あれだめ、これだめ、本当わがままだなぁ、はいはいわかりましたわかりましたよ、お嬢」

「やああめええろよおっ」

 怒ってしまった。ぴゅ‐ぴゅ‐湯気出てる。

「ふ、ふふっ」

 その様子を、アッシュの奴が腹を抱えて笑っている。

「い、いや、すまない。思えばツヴァイのそんな姿、初めて見たなと」

「た、たいちょおっ?」


「なあ、俺はどんだけ意識を失ってた?」


 身体を起こし、シトリィへと問う。

 アッシュと戦い、瞬く間にのされた。前後の記憶はしっかりしている。

 ‐‐いや、ありゃあ戦い、なんて上等なもんじゃねえな。本当に一方的にただのされただけだ。


 美しかったのだ。

 目にも見えなかった銀色の輝きが、憮然としたアッシュのあの立ち姿が。

 そして悔しかった。

 今、ツヴァイの姿を見て楽し気なアッシュに、あんなつまらなそうな顔をさせたことが。


 ‐‐なあ、俺との立ち合いはそんなにつまらなかったのか? 俺の力はそんなにしょうもなかったか?


 思えば、俺が女王ゴブリンを倒したのも、人を殺したのも、全て不意打ちのようなものだ。

 意図せぬ一撃や手傷を負わせて勝ったと思わせたところの反撃。

 俺自身の力など、アッシュとの立ち合いでは全く及ばなかった。


「十分にも足らなかったっスよ。でもタッきゅん、意識を失うなんて優しいもんじゃなかったっスよ。気づいてないっスか?」


 シトリィに促され、自らの身体を見下ろす。上着は裂け、赤黒い血がべったりと付着している。

 裂けた上着からは肌が丸見えだが、傷は最早癒えている。

 おそらく不死の力で一度死んだ傷が癒えたのだろう。


「あ‐、一度死んだのか、俺……」


 クレアとの死なないという約束を、ろくに守れていない。力が足りないのだ。

 自覚すれば、口の中にしもしない鉄錆のような味が広がった気がした。

 後味が悪い。


「何度見ても化物じみた力だなあ、それは」

「なあ、タツミって手足切れたらすぐ生えんのか?」


 リ‐ドとアルフが歩み寄ってくる。

 アルフの無邪気な質問が恐ろしすぎる。


「知らん」

「なあ、ためそ「試さない」

「ちぇっ」


 なんで不服そうなんだよお前は、素で聞いてきてる辺り、狂気じみてやがる。


「じゃあアルフさんのムスコ切ってみるっスか」

「なんで!?」

「大丈夫っスよ、きっと生えてくるっス、きっと」

「うそだろ!」

「ほんとっス、ほんとっス。だから切りましょう」

「いやだよ!」


 おお、シトリィがひっそりとキレてる。俺のために怒ってくれるのだと思うと愛しさがこみあげてくる。


「シトリィ嬢なんて私達が大丈夫だと諭しても、ギンお嬢と一生に真っ先に旦那へと駆け寄ってましたからね」

「ちょっ、お爺ちゃんっ」

「肩を掴んだら離せ!ってガチギレされまして、寿命が縮みましたよ」


 はっはっと笑いながら髭を撫でるロ‐シ。死なないでお爺ちゃん……。

 あんたのブラックジョ‐ク、怖いのよ。


「さすがにあの時はスッススッス言わなかったなあ」


 ゴリが呟くが、図体共々声もデカいからか全員に聞こえてる。

 スッススッスってなんだ。


「ゴリラさんまでそんなこと言うんスか……」


 シトリィは顔を真っ赤にして俯く。が、膝枕されている俺には丸見えだ。

 シトリィは俺と目が合うと、口元を手の甲で覆い、そっぽを向く。

 どうやら本当に照れているらしい。愛いやつめ。


 彼女のっス口調はキャラ付けだと聞いている。

 今回はそのキャラ設定を忘れるぐらいには慌てて素を晒したということだろう。

 それだけ本気で慌ててくれた、ということか。

 聞けば聞くほど、シトリィのことを愛しく思えた。


「聞いてはいたが、いざ目の前にすると本当に生き返るとはなあ」


 アッシュの奴が感慨深げに言う。俺の能力については女将さんかクレアにでも聞いたのだろう。


「もし生き返らなかったらどうするつもりだったんだよ」

「そしたらそこまで。生きるか死ぬかなぞ、この世界では珍しいことではないだろう」


 言い切りやがったよ、こいつ。


「ちっ、そのまま死ねばよかったのに」


 お嬢が毒づく。可愛い顔して本当にキッツイなあ、この人。


「え、なあにお嬢、心配してくれたの、やっさし‐。膝枕もしてくれるって? やった‐」

「言ってないいっ! お前の頭は一体どうなっているんだっ!」


 お嬢は一生懸命繕った鉄面皮は一瞬で剥がれ落ちた。何なら目元は先ほど泣いた影響か、ほんのりと赤みを帯びて色っぽい。チョロ色っぽい。


「まあ俺に膝枕したくなったらいつでも言ってね。頭ならいつでも貸すから」

「お前の空っぽの頭なんかいるかあっ」

「からんからんっ。おやっ、振ってみたら本当にからっぽだ」


 ねえ、シトリちゃん。なんで俺の頭振ったの?からっぽじゃないよ?


「な‐んでウチの膝の上でウチ以外の娘とじゃれてるんスか‐?」

「おや、シトリィちゃん。嫉妬なの? か‐わい‐!」

「今のタッきゅんは可愛くないっス……」

「可愛くなくて結構。俺はかっこよくありたいの」

「「「「「「「「いや、それは無理」」」」」」」」


 めっちゃ声はもったんだけど、一体何人が言ったの今の!出てこいや!

 アルフとリ‐ドとゴリとロ‐シとラット、ギンとシトリィ、アッシュにツヴァイ、アイン……一体犯人は何人で誰なんだ……。


「む‐!おと様はいつでもかっこいいの!」

 一瞬でもギンを疑った俺を許してくれ。

 いつのまにやらシトリィの隣で同じように座っているギンが俺の頭を掴み、自らの膝上へと勢いよく運ぶ。獣人の人間より強い力で無理やり運ばれたので、ちょっと痛い。頭もげてないだろうか。


「お‐、ギンはいい娘だ……」

「かっこいい男は娘呼ばわりする女児の膝で寝るものなのか」

 おいやめろアッシュ、素朴な質問は俺に刺さる。



「やあん、ギンちゃんも嫉妬して膝枕したくなったっスか、か‐わ‐い‐い‐!」

 シトリィが自らの身体を抱きかかえクネクネしてる。これが噂のクネクネか……。見るな!正気を失うぞ!


「よ‐し、じゃあおと様もあとでギンを膝枕してやろう!」

「やった‐!」

 素直に喜ぶギンちゃん可愛い。はすはすぺろぺろ。

「なんならなでなでもつけてやる!」

「やった‐!」

 両手を挙げて喜んでいる。可愛さが限界突破だ。ウチの娘が一番可愛い、世界最強だ!


「そのうちギンお嬢も我々に触らないでと虫を見るような目で言うんでしょうなぁ……」

「うわあ、噂に聞く洗濯物を一緒に洗わないでってやつか」

「なんならおとうさん臭い、とかいや、なんならおとうさんとさえ呼ばれなくなるってやつか。年頃の娘にただくさいとだけ……興奮するな」


 おいやめろ。ウチの娘はそんな反抗期迎えないんだ。迎えないんだよ。迎えないよな……?

 あとアルフのバカはやべえからパ‐ティを追放しよう。


「本当にお前たちはおもしろいなあ。見ていて飽きん。だが、そろそろ話をしていいか」

「よかろう、話せ」

「なんでお前は人の膝枕の上でそんなに偉そうにふんぞりかえれるんだ……」


 お嬢があきれた視線を向けてくる。やめろよ、興奮するだろ。


「さて、ではそうだな。タツミ、お前が手にかけた男、ブロンについて、だな」

「いいのかよ、そいつにまつわる話って、俺が賭けに勝ったら、勝負に勝ったら話すって内容じゃなかったか」

「構わん。元々、この話は勝敗に関わらずお前に話すつもりだった話だ。あくまで賭けに持ち込んだ段階で俺にとっては勝負はどう転んでも構わなかったからな」


 あれほど圧倒的な力の差を見せつけられた後だ。

 この男の言う勝負はどう転んでも構わなかったとの言葉は本当に買っても負けてもどうでもよかったのだろうと思う。そもそもが俺が勝つなど思ってすらいなかったのではないか。

 自信を喪失した今では、すべての事が疑わしくなってしまう。

 よくない兆候だ。


 俺の居合、『無明』を抜いてから腕を振り切るまでに奴は俺の胴体を袈裟斬り。速度が段違いだ。


 ‐‐過ぎたことだ。何をどう考えようが過去は覆らない。差を埋めるために鍛錬あるのみ、だな。


「でだ、男‐‐ブロンについては言った通り、こいつ自身は窃盗や強盗などを犯してたゴロツキなのだが、問題はこの男の兄だ」

「やはりそうですか」


 ロ‐シが口に出す。彼の想像してた悪い事態とやらは当たってしまったらしい。


「ロ‐シは知っているようだな。男の名をゴルド‐。『鉄塊』のゴルド‐、という二つ名の男だ」

「二つ名ってこたぁ冒険者かよ」

「かつてはな。名を馳せた冒険者ではあったが今やゴロツキと成り果てた。それもかなりタチが悪い」

「一体どんな奴なんだよ、そいつ」

「悪行を挙げればキリがない。窃盗、脅迫、誘拐、殺人。極めつけは自身の故郷の村人、二十人余りを皆殺しにしている。老人子供問わず、一人で一夜にしてな。

 村の出身で残ったのはゴルド‐と弟のブロン。ゴルド‐にはもう一人、近隣の村にまで名の知れた器量よしと言われた妹がいたが、この事件の前後から行方知れず。どうやら遺体はなかったらしいが、これもどこまでか」

「遺体はなかった?」

「聞いた話によると、村人全員の遺体の損傷が激しく判別がつかんほどだったらしい。ゴルド‐の奴は村人に相当の恨みがあったようだ」

「一体村人とそいつの間でどんな確執があったんだってんだ……」

「さあな。ブロンも死んだ今、真実を知るのはゴルド‐のみだ。ちなみにこの話にはまだ続きがあってな、事態を聞きつけた領主の騎士ら、十人程が調査に向かったところ、近隣の山賊を乗っ取ったブロンが返り討ちにしている。これもまた実質、ゴルド‐が殆ど一人で、更には無傷でな。なんでも武芸に秀でた騎士らの剣は奴の身体に傷一つつけられなかったそうだ。それが由来し、『鉄塊』の二つ名を知らしめた」

「うええ、領主だとか騎士だとかいることに驚いたけど、それ以上になあにそのヤバそうなやつ」

「ちなみに俺も奴と戦ったことがあるが、相性が悪くてな。俺は奴を貫けなかったし、奴の攻撃は大振りで俺には当たらん。決着がつかなかった」

「おおい、しっかりしろよ兵隊さんよお!そんな凶悪犯野放しにするなよ!」

「『夜哭街』に逃げ込まれてな。あそこに逃げ込まれるとこちらとしては手を出しにくい。犯罪者の巣窟だからな、容易に踏み込めばこちらが返り討ちにあうか、住人全員と全面戦争なぞになりかねんのだ」

「『夜哭街もやっば。単なる歓楽街かと思ってたわ」

「あそこは煌びやかさの裏で相当闇が深いからな、気をつけろよ」

「もっと早く教えてくれよ……」

「いうより先に行くとは思わんだろ。お前の事だ、知るや否や行ったのではないか?」


 その通り。ぐうの音もでない。ぐう。


「ははは、ままままさか」

「この色情狂いが」


 お嬢、聞こえてるからな。独り言なんだろうけど、いっそ素直に罵倒してくれ。そっちの方が興奮……じゃないや、茶化せて笑い話にできるだろ。マジト‐ンだとふざけにくい。


「え‐、で、そのヤバイゴルド‐とかってやつがどう絡んでくるってんだよ。捕まったら死刑待ったなしの超凶悪犯じゃん。死刑制度あるよね、この国この世界」

「まあ捕まったら一生日の目を見ることはないだろうな」

「ですよね‐、じゃあアッシュさん、おねがいしや‐す!」

「で、だ。そのゴルド‐だが、どうやら身内には甘いようでな。弟のブロンをめっぽう可愛がっていたらしい。そんな弟が数日も連絡なしで帰ってこないと一同総出で血眼になって探しているらしい」

「おい、無視すんな。そしてふざけんな、そんな可愛い弟じゃなかっただろあのおっさん、とっとと弟離れしろよちくしょう」

「ちなみにだが、失踪当日、『夜哭街』でボロい灰色のロ‐ブを被った何者かが同行していたこと、その者の正体まではバレているぞ」


 アッシュはあの場に居合わせた人間だ。当然その場にいた灰ロ‐ブの正体イコ‐ルシトリィだと知っている。でもこの場でもシトリィの名を出さず濁すのはどうしてだ。


「おおいっ、つまりそれほぼ積んでねえか!?」


 灰ロ‐ブがシトリィだと相手にばれている以上、シトリィと同行を続ければ疑いの目は向けられるだろう。というかそもそも犯人俺だし。


「そうだな。積んでいる」


 淡々と告げんな。


「おおおいっ、タツミこの馬鹿っ。このっ、このっ、どうしてくれるっ」


 リ‐ドの奴が俺の胸倉を掴み、ぐらぐらと揺すぶってくる。頭がギンの膝に当たって痛い。

 俺はまだ彼女の膝の上で夢見心地で居たいのだ。放して欲しい。


「まあ落ち着けってリ‐ド。慌てすぎて語彙力喪失してんぞ、おもしろ」

「何もおもしろくない!余計な火の粉を散らしおってっ!どうしてくれるっ!」

「ね‐、どうしよっか‐」

「のんきかっ!」

「まあまあ、落ち着け。そんなわけでタツミ、お前には圧倒的に経験が足りない。ということでジョディ殿から許可を得ておいた」

「は? なんのだよ? つうか俺の許可は? してないよ? 俺」

「ちなみに先に言っておいてやろう。お前の力の事はあくまで俺、ツヴァイ、アインともう一人しか知らないので安心しろ。ついでにロ‐ブの者のこともな」

「は? まったく何言ってるかわかんないんだけど。さっきからちょくちょく俺の話ガン無視して自分の話しかしてないよねお前、自己中かよ、コミュ症かよ、聞けよ俺の話。友達失くすぞ」


 アッシュは右手を挙げ、パチンと指を鳴らす。

 その指を合図にするかのようにシトリィやギン、リ‐ドさえも俺から離れて行った。

 なに、ウェイタ‐でも来るの?


「総員、確保!」


 ツヴァイが声を張り上げる。

 周りの草むらがざわつき始め、やがて続々と屈強な男たちが飛び指してくる。

 え、どこにいたのこの人たち。


「「「「確保お!」」」」


 男達の怒声のような叫び声が耳をつんざく。


「ぐえっ」


 未だに事態が呑み込めず、寝そべったままで混乱している俺に続々と男たちがのしかかってくる。

 潰されたカエルのような声が漏れた。

 重い重い熱いむさ苦しい。

 さっきの忠告は、この男たちは何も知らないから安心しろ、という意味だったのか。

 茹で上がりそうな脳みそが冷静にアッシュの言葉の意味を正解に導いた。


「ちょまっ、おもっ、つぶれっ潰れるっ!おい誰だ俺のケツ触ってる奴、手を離せ!揉むな!もみほぐすな!くっそ!本当ふざけんな、ぶっ殺すぞ!」

「よ‐し、無事確保。これよりタツミの身柄はウチで預かる」

「聞いてねえぞ!おい、誰か止めろ!」

 男たちに潰され身じろぎすらろくに取れない状況で声を張り上げる。

 しかし、一向に返事はない。全員無言である。


「いやいやいや、待てお前ら全員承諾済みなの!? なんで!? 俺リ‐ダ‐なんだけど売られたの!? リ‐ダ‐だけど信じた仲間たちにパ‐ティ追放されたんだけどお!」

「安心しろ。お前の身柄は安全な場所で預かるからな」

「嫌だ!絶対嘘だ!上の男達、俺に殺気むんむんなんだけど!」


 俺の上に乗っかる男達は全員で鼻息をふしゅ‐ふしゅ‐と荒げ、「殺す殺す殺す」「俺のツヴァイ隊長をよくも…」「いいケツだ……」などとそれぞれに口ずさんでいる。あと最後の奴は絶対にあとで殺す。俺の身の安全のために真っ先に殺す。


「はっはっは、安心しろ。タツミ、シトリィは俺がしっかりと守る!」

「あ、触らないで。ばっちい」


 アルフの馬鹿が今までの全員の努力を台無しにするようにシトリィの名を出すが、男たちは全員がバ‐サ‐カ‐なので心配はないだろう。今尚殺すかケツしか喋っていない。

 しかし、シトリィの肩でも抱こうとしたのだろうか、振り払われたアルフの姿が容易に想像できて笑える。どうやらネトラレ展開の心配は不要のようだ。

 追放されてネトラレなんて胸糞展開、望んでないからな!

 本当だからね!悔しい!でも感じちゃ……感じねえわ、まじで胸糞悪いからやめろ。


「はっはっは!ざまあみろ!お前はこれから暗く寒い牢屋の中で一生を過ごすのだ‐!」


 お嬢の楽しそうな笑い声。俺の不幸がそんなに嬉しいのか、なぜこんなに嫌われてしまったのだ。わからない。


「え‐、やだ‐。お嬢も一緒に一生牢屋で過ごそうぜ!」

「死んでもごめんだ!皆の者!とっととこいつを牢にぶちこめい!」

「「「「さ‐いえっさ‐!」」」」

 殺気だった男たちの返事。どうやら俺は本当に牢屋にぶちこまれて一生を過ごすようだ。

 フジ タツミ先生の次回作にご期待ください!完!




 いや、そんなんで終われねえから。

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