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でかいであい

「立ち入り禁止、だぁ‐?」

「はい‐、申し訳‐ございません‐」


本当に申し訳なく思ってんのかよ、とツッコミたくなるような間延びした声。


「こないだは普通に行けたぞ、どういうこったよ、姉ちゃんよぉ」

「サファイアです‐」

「は?」


突然なんだ。


「姉ちゃんではなく‐、サファイアです‐」


にこにこ笑顔。

どうやら名前を呼べということらしい。


「あ、はい。サファイアさんね、よろしく。

で、なんで立ち入り禁止なんですかねぇ」


「私は‐サファイアです‐」


いや、わかったから。

先ほどの笑みのまま同じ言葉を繰り返す。

その様子がなんだかおそろしい。


実は精密なロボットだったりしないだろうか。


いやいや、どう考えてもこの世界は科学とか明らかに劣ってるから、魔法だから。ファンタジ‐だから。


「旦那、サファイアのお嬢は自己紹介をしないと。

お互いの名を知ってようやっと会話ができるんですよ」


「エルフの流儀、だったか」


「これはこれは。ロ‐シさんと‐アルフさんじゃ‐ないですか‐」


「俺はリ‐ドだ……。いい加減覚えてくれないか、サファイアちゃん…」


「わかってますよぉ、冗談です‐」


隣に並ぶロ‐シとリ‐ドからの助け舟。

なるほど、そういうことなのか。


リ‐ドは名前を間違えられる、というかいじられている。


独特のル‐ルに、おっとりマイペ‐ス。

我が強いというか、癖が強いというか。キャラが濃い。

ギルドの受付嬢ってのはそんなのばっかなのか。


「しっかし、エルフ、つったか」


「サファイアです‐」


「あ、はい。どうも、タツミです」


「知ってます‐」


「知ってんのかよ!」


今までのやりとりはなんだったんだ。


エルフの特徴ともいえる長い耳がぴこぴこと弾むように動いている。

どうも先ほどから楽しいと動いてるようだ。

犬の尻尾かよ。


「はい‐、フ‐ちゃんから聞いてます‐。

なんでも珍しい方々が見たことない人と組んでるって‐」


「まじか。見たことない人呼ばわりか。

あいつには今度から珍しさがなくなるぐらいに面見せてやる」


なんと他人行儀な紹介だ。俺とあいつの仲だろう。

そんなに親しくはなかった。


「あはは‐。ぜひそうしてあげてください‐」


同僚のサファイアが朗らかに、体を振り子のように揺らしながら笑う。耳も動く。そして…


「でっけぇな……」


つい漏らす。


でかい。おっきい。はずむ。動く。揺れる。揺れる。揺れる。

本人が左右に揺れると耳は上下に弾み、でっかいそれもたゆんたゆんと左右上下に大きく動く。

つい視線がおいかける。


でっかいおっぱい。


「旦那……」「タツミ……」


隣の男二人からあきれるような声。


「いや、これは仕方ねぇだろ…。自然と目に入るっつうか、追いかけるって…」


「「わかる」」


どうやら同意見らしい。

さっきまでの目はなんだったんだ。


「彼女と会えば、男なら必然そうなります。初対面ならなおさらです」


「だな」


「何をひそひそとお話してるんですか‐」


「「「なんでもない」」」


これは男だけの秘密だ。





「で、だ。エルフってのは皆こうなのか」


「さぁ。私も彼女以外のエルフを見たことありませんので」


「俺もだ」


「こう、というのがどういうのかわかりませんが‐、エルフは閉鎖的で‐あまり人里に出るようなことは‐ありませんので‐。

私は‐結構‐変わり者扱いされましたし‐」


「なるほど。ちょっとわかる気がする」


「しつれ‐ですね‐」


さすがに言い過ぎたのか、サファイアが怒った様子。

しかし、それもぷりぷりといったような可愛らしい怒り方だ。

あまり、というか正直怖くない。


サファイアちゃんは感情が豊かで、見ていると楽しい。

これはモテそうだ。


「悪い悪い、言い過ぎたみたいだ」


「笑いながら‐言われても‐」


あんたにゃあいわれたくねぇ。


「興味が尽きねぇが、そろそろ本題に…ってところだが、もひとつ。

フ‐は今日はいねぇのか」


先ほどから探してみるものの、横並びにあるギルドの受付に彼女の姿が見当たらない。


「フ‐ちゃんなら‐体調不良でお休み‐で‐す‐」


「そうなのか」


「だと思った」


「……珍しくもないですから」


そういうロ‐シの表情が珍しい。苦虫を噛み潰したような、とはこういう顔だろうか。


「そういうお前のが珍しいじゃねぇか。どうかしたかよ」


「……いえ、なんでも……お気になさらず」


彼にしては珍しく煮え切らない答え。

どうもロ‐シにはフ‐を避けてるような節が見られる。

それと関係しているのだろうか。


「……そっか、じゃあいいや。サファイアちゃん、フ‐に大事にするように伝えといてくれると助かる」


あまり知られたくない様子だし、彼が話すまで待つことにしよう。


「はい‐、ありがと‐ございます‐。フ‐ちゃんも喜ぶと‐思います‐」


「あいつが喜ぶ姿とか想像できねぇな」


正直な話、体調を崩すのもにわかには信じがたい。

血の気通ってんのかよってレベルの鉄面皮っぷりだったぞ。


「あまり‐感情を見せる娘では‐ないですから‐。

親しくなれば、見れると思いますよ‐」


「まじかよ。なおさら嫌ってほど面見せて親しくなってやる」


「その意気です‐」


「よっし、じゃあお墨付きをもらったことだし、そろそろ行くか‐」


「どちらへ‐いかれるんです‐」


「ちょっくら賢狼の森へ」


「ですから‐立ち入り禁止です‐」


流れで行けるかと思ったが、ダメだった。

案外とサファイアちゃんはしっかりしてるらしい。

これはてこずりそうだ。

ノリと気分で書きたくなったものの、久々に書くとどう描くんだっけ…ってなりました

無心でギャグ百合とか書こうか…


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