守将と交渉せよ!
リューイです。
フラグって言うんでしょう?こんなの。
参軍させられました。姐さんの命令で。
「戦闘はないし、あのバカじゃすぐボロだすから。」
あのバカとはカイさんのことです。
「でも僕文官ですよ。ペン以上の重いもの持てませんよ!」
「…」
冷たい目で見返され、もう紡ぐ言葉は無いとばかりに書類に目を走らせ始めました。
で、無事に城に戻ってきました。
姐さんの言うとおり、戦闘もせずに10ヶ月分の食料と金貨12000枚。
金貨だけで僕と妹と両親と祖父母と親戚一同贅沢に暮らせるだけあります。いやぶっちゃけこの町の運営予算の10年分はあろうかってほど。この領の年間予算の半分。
僕のやったことと言えば、軍需倉庫のある砦、アーカス砦に進軍するって触れ回ることと。辛い道のりを歩く事。アーカス砦の守将とお話しする事。その三点。
なにが辛いかって毎日家とお城を往復しデスクワークに勤しむ僕。
そんなに走れないし歩けない。
出発当日。
捕虜にボロボロの服を着せて出発させて、その後、義軍たちはその領主軍服を着て別方向に進発。
街道沿いに行くと120kmのところを側道で地元住民か山賊しか通らないような険しい道でショートカット。
義軍はいいよな。殆ど山賊みたいなもんだし。
疲れすぎて気絶したところを山賊、いや義軍に負ぶわれて目的のアーカス砦にたどり着く。
「守将をよべ!」
カイさんが門の手前で怒鳴ります。
守将さんが出てきます。
「何のようだ」
領主軍の軍服を着ているので同僚だと思われているようです。
「わ、我らは第一軍管区のものだ、こ、口上はこのモノから…」
カイさん吃りまくりで僕に丸投げです。
「…私達は第一軍管区第12守備隊です。賊軍に占領されたアートフリークから我らの守護している地域に出兵が確認された。領主様に指示を仰いだところアーカス砦から物資を運び出し籠城に備えよと発令されました。こちらが命令書です。
守将さんが命令書に目を落とします。
お金の項目に目を向けたのでしょうか目を剥いています。
カイさんが僕にボソッと聞いてきます。
「…あの命令書の印は大丈夫なんだろうな。」
この期に及んでグダグダ五月蝿いのでお尻を抓ってやります。
何やら守将さんが副官を呼んで印章をチェックしているようです。
「…量が量だけに一両日待って欲しい。生憎と砦内には規則で入れられないが。」
「畏まりました。宜しくお願いします。」
敬礼をして、守将さんに近づきます。
「そう言えば最近聞いた話だと隣の領の麦の出来が悪いようで、価格が高騰との噂ですよ。」
一礼して後ろに下がります。領主の口角が僅かに上がったのは確認しましたけどね。




