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突然の転生

完全な息抜きと思いつきです。

そこらへんをご注意して読んでくださるとありがたいです。

なんだここ……?


意識が遠のいて、視界が真っ暗になったと思ったら…真っ白い空間にいた。


例えるなら白い闇。眼前には白しか存在しない。


あれ……俺は夢でも見てるのか?


そうだ。確か……バイトからの帰り道を歩いていたら……。


ズキッ!


「うっ……ッ!」


胸に鋭い痛みが走る。

頭がガンガン痛む。

そうだ……!俺はナイフを振り回した変な男に刺されて……。


「よ!起きたか〜」


「……ッ!」


突然、目の前には一人の少女……いや、小学生に上がったばかりくらいの愛らしい幼女が立っていた。


「君は……」


「ああ。お前らが神とか呼ぶ存在」


幼女は見た目の年齢に不釣り合いな意地の悪い笑みを浮かべた。


「か、神様……?」


状況に頭がついて行かず、ただ幼女の言った言葉を繰り返すように言った。


「ああ……。というか様は別にいらないけどな。俺は他の奴らと違って、己の管理する世界の傍観者に過ぎないし」


口調も、雰囲気も、表情も、全てが外見とは不釣り合いだ。


幼女の言った事に若干興味を惹かれるが、それ以上に俺は幼女に確認しなければならない事がある。


「………もしかして俺はし…」


「うん。死んだよ?通り魔に心臓を刺されてポックリだな」


幼女は俺の言葉を遮り言った。


まるで「何を当たり前の事を聞くんだ?」とでも言うように。


「ッ!…そうですか……。はは…死んだんだ。俺……」


夢だとは思わなかった。


自分で死んだ…と言おうとした瞬間。


幼女に死んだと言われた瞬間。


俺は自分の死んだ瞬間を明瞭に思い出したのだから…。


顔を俯かせ、思い出した死の恐怖に身を震わせながら……ふっと俺は思った。


何でわざわざ……神様と呼ばれる存在が俺一人と会っているんだ?と。


目線を目の前に腕を組んで、仁王立ちする幼女に向けると……意地悪そうに笑う。


「そう。目的があるよ?何も言わず、そのままやってしまって、あたふたする所を見るのも一興かと思ったが……ま、説明だけはしてやる」


幼女の目に一瞬嗜虐的な色が横切った。


背筋に先ほど思い出した死の恐怖以上のモノが這い上がる。


何せ、目の前に立つのは絶対者。


最近のネット小説では間違えて殺しちゃった☆チートあげるから許してね!てへぺろ☆


……なんて随分と優しい神様が蔓延ってるが、差を考えるのも馬鹿らしい絶対の存在に文句など言えない。


仮に俺が彼女(本当に彼女かは分からないが)に迂闊な言動をして気にくわないと思わせた場合、どうなるか……考えたくもない。



「くく……そうビビるなよ?何も取って食ったりしないさ。なに、話は単純。剣と魔法の世界にお前を転生させてやる。やったな?喜べ〜」


………ッ!?!?


呆気なく何でもなく言う幼女。


俺は言葉を失った。


異世界に転生?なんだそれ……。


意味が理解出来なかった。

理解が及ばなかった。


自分で言うもなんだが、俺は世間一般からはオタクと呼ばれる趣味をしている。


漫画を読み、ゲームをして、アニメを見て、ライトノベルを読み、ネット小説を読み漁る。


好みとしては主人公がカッコいい奴が好きだ。


普通では有り得ない事や、不可能な事を成し遂げ、己の愛する人を幸せにする。


そんな彼らに憧れるし、憧憬を抱くのだ。


だから……分かりはする。


最近のネット小説流行りは勇者モノ、異世界転生モノ、ゲームモノの3つだ。


そのため状況は分かる。


だがだ。だが……なぜ俺が選ばれる?


俺は凡人だ。自他共に認める凡人だ。


家庭は金持ちでも、貧乏でもない。いや、大学の学費は払ってくれているのだから、どちらかというと裕福か。生活費は己で稼いでるが………。


勉強は普通、運動も普通、容姿も十人並み、体格も十人並み、友達も普通にいるし、彼女はいた事はないが童貞ではない。


性格も凡庸だし、悪人でも善人でもない。


……なのに何で俺が異世界に転生なんてモノに選ばれる?


それらに選ばれるのは誰かを庇って死ぬか、不幸よりの生い立ちか、天才か、世界を救う為とかそういう存在達じゃないのか?


俺が疑問に思っていると、幼女は薄く笑う。


「くく……理由はお前が凡人だからだよ?最近、世界を見てて思ったのさ。何で異世界に特殊な能力を与えられて、転生させてくれる。…なん〜て考える輩が多いんだろうってな?そして思った。仮に凡人が異世界に何の能力も与えられずに転生したら、どうなるかな〜?ってな」


俺は絶句した。なんだそれは、それは、要するに……暇つぶしじゃないのか。


幼女はニヤッと笑う。


「そう暇つぶしだ。と言っても記憶は保持したままだから、ある意味チートだな。後、生まれも、能力も並みの貴族にしてやる。農村や、奴隷、職人の子供として生ませると見ててつまらなそうだからな」


俺は唖然として言葉が口から出てこなかった。


そんな俺をお構いなく幼女は続ける。


「うーん。それとお前には天才が弟として産まれ、何かをする度にお前より圧倒的才能を持つ奴に出会うようにしてやる」


幼女の言葉を聞きながら、俺は何とか口を動かした。


「……ちなみに拒否権は?」


「別に拒否るのは構わないが……そうすると、どうなるか分からないぞ?」


「……どうなるか分からないって……」


「ああ。死後の世界ってのを、普通なら色々用意するんだが…俺はそれら作って無いからなぁ。魂が消滅するか、何かに転生するか、はたまた勝手に作られた死後の世界に向かうか、分からない」


……なんてヤツだ。

宗教家が聞いたらサタニストに転向しかねない。


そもそも、目の前の存在は人が崇める理想の神じゃなく、神としか呼びようのない力を持った存在なのだろうが……。


……分からないよりは、分かってる方が良いよな。


剣と魔法の世界なんて、正直自分が生き延びられるかは分からないが……産まれ先は貴族なのだから、余程の事が無い限りは飢え死にする事なさそうだ。


「……分かりました。よろしくお願いします」


俺は目の前の幼女に頭を下げた。


「よし。ならば精々死ぬまで異世界を楽しめ」


目の前がまた暗くなる直前……幼女がどこかほっとしたような、人が崇める神様らしい慈愛を込めてような表情をこちらに浮かべたような気がした。





「さて……行ったか。神が祈るなど可笑しな話だけど、せめて祈ろう。彼の旅立ちに……」


幼女の雰囲気が、今までがウソのように切り替わる。


彼女が彼を選んだのには理由がある。


彼は凡人だが、凡俗ではなく。そして凡庸ではない。彼には目を見張る能力はないが……誰でも持つ当たり前の力を、強く持っている。


だから、運命を変えて彼を死なせた。


ある目的の為に……。


彼女はただ信じて待つ。彼が己の期待に応えてくれることを……。


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