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稀代の魔術師  作者: 神山 備
第一部 元の世界へ
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異文化交流は難しい

 幸太郎氏と殿下との差し戻しの時間が迫っているので、私は早速彼に自動車なる物の動かし方の指南をお願いしました。

【そうだな、一台しかないんだから俺が教えるしかないか。壊したら後がないから慎重に運転しろよな。ま、野っ原走ってりゃ日本と違って事故ることなんてないけどよ。その内に転がし方も覚えっだろ】

幸太郎氏はそう言って快く引き受けてくれたので、私たちは自動車乗り込むためにグランディーナの城郭に向かいました。 

【鮎川様は並行世界パラレルワールドのことはご存じですか】

そこに向かう道中、私は幸太郎氏にそんな質問をしました。私が並行世界のことを説明したときに、彼があまり驚いていなかったからです。

【ああ、SFの常套手段ではあるわな】

彼はそう即答しました。

【やはり、あなたの世界ではそうして並行世界を行き来することが多々あるのですね。だから、お二人とも冷静でおられたと】

しかし、私がそう言うと彼は首をぶんぶん振りながらこう答えました。

【誰も、異世界トリップなんて経験しちゃいないさ。たださ、ウエブあたりではそういう物語が当たり前の様に存在してるからさ、まぁなんとなくそうなんだろうって妙な理解力だけはあったかもしれねぇけどよ】

【えっ、鮎川様の所では 紙に書かずに『蜘蛛の巣』に物語をかかれるのですか?】

なんと、あの進んだ世界では紙は使われないのか、驚いて私が尋ねると、幸太郎氏はあんぐりと口を開けたまま固まりました。

【おまえ、優秀なのか天然なのかどっちかに統一しろよ。『パラレルワールド』を知ってるんだったら、普通『ネット』のことも解るって思うだろ】

【もしかして、並行世界も、蜘蛛の巣も、網もそのままの意味に取ってはいけないんですか?】

私が首を傾げてそういうと、幸太郎氏は、

【当たり前だろ、全部コンピュータ用語だ。でも、そんなもん、この世界にないか……】

と、拳をプルプルさせて熱弁を振るったかと思うと、急にトーンダウンして、ため息をはいた後、

【だいたいこういうコンピュータ用語は語源が英語なのが悪いっ! 話が進まねぇ!!】

と声を荒げました。(本当に忙しい人です)語源と言うことは、どうやらそれは何かの比喩表現に使われているようです。

 そうこうしている内に私たちは自動車の前にたどり着きました。


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