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ヘタレ王子なりの事情

私の答えにぼーぜんと口をあけたまま固まってしまったアレックス王子だが、そんなに口あけてるとゴミが入るか、よだれが垂れそうな気がしてならないんですが…って、あ。本当にヤバイ。


口の端から一瞬光るものが見えた気がしたけど、とりあえず見ないでおいた。

直ぐに本人も気づいたみたいだけど、ズズッって聞きたくない音が聞こえましたよ?


まぁ、向こうも気まずそうに顔を赤くして視線を逸らしてるからそのことは突っ込まないであげよう。



「…ですから、説明もなしでいきなり選択肢を差し出されてもこちらとしては考慮することすら出来ないのです」


本当は説明なんて聞いたら面倒ごとに巻き込まれるのは確実なんだろうけど、行き止まりの場所に追い込まれてしまった以上、次善の策を練るために多少なりとも状況を把握しないとダメだよね?


そう自分に言い聞かせつつ、しぶしぶと王子様に説明を求める。


私の言葉にぱっと顔を上げた王子様はすがるように見つめてきた上、ひしっと手をつかんできた。


「話を聞いてくれるか!「伝説の…(レジェ…)


「ストップ」


言いかけた王子をつかまれていない方の手で制する。


「何度も言いますが、私はそんな「伝説の人」(レジェンド)などという怪しいものになった覚えもつもりもありません。今度そう呼んだらはったおした挙句、踏み倒して二度と話を聞きませんのでご了承くださいませ」


額に薄っすらと怒りマークをつけたままニッコリと笑顔で通達すれば王子様が青ざめて何度もうなずく。


……この人、やっぱりヘタレだわぁ…


どう見ても年下だろう私にこんなに押されてて本当に第一王位継承者なんてやってられるのかしらねぇ?


「それで、何故見ず知らずの私にそんな厄介事(大役)をおしつ…もとい提案されるのでしょうか?」


おっと、思わず本音が()れそうになった。危ない危ない。

一瞬餌代のかからない猫が背中から逃げそうになったわ(苦笑)


だがそのことに気づかなかったらしい王子は暑苦しいまでの瞳で真剣にこちらを見ている。



「実は、このエフェノリア国は前代未聞の問題に悩まされているのだ」



そう言ってアレックス王子が滔滔と説明をしだしたのだが、これがまたやたらと長い!

延々と続く話を要約するとこんな感じだろうか。



このエフェノリア国は一方を海、三方を隣国に囲まれているのだが、最近その隣国の動きが怪しいというのだ。

まぁ、ただ怪しいぐらいならどこの世界でも行う諜報活動でちょちょいと調べて自国の軍備を増強するなり政治的手段とやらで火の粉を消せば問題はない。


だが、今回の怪しさというのはどうもそういうことではなく宗教絡みらしい。


このエフェノリア国が存在する大陸は「オクスフォール」というらしく、国はエフェノリアを含めて十数カ国(群島を領土とする小国含む。いわゆる大国は4カ国)。


東に耕作地に恵まれ酪農が強いアスフェン。

南に良港と貿易が盛んなこのエフェノリア。

西に鉱山と工芸に秀でたアリールイ。

北に宗教本山と学術の国ターゼン。


その他各小国が独自の特色を持っているらしいが割愛。


で、問題の発端は北にあるターゼンの大主教様とやらが下したお告げだそうで。

その内容が


「この世界を治める神が何処かの国に降臨された。神を手に入れた国がこの世界全てを治めるであろう」


などというファンタジー設定では良くあるけど、巻き込まれたほうはたまったもんじゃないという碌でもないものだった。


「そのような訳で現在各国共に血眼になって「神」とやらを探しているのだが、正直なところうちの国王(ちちうえ)は捜索には興味がないようで…」


そういう王子もなんだか言いにくそうにだんだん語尾が弱くなっていく。



「だが、家臣たちは躍起になって「神」をわが国に!大陸制覇!とまぁ、熱くなっていくので父上も、こう、ちょっと、面倒になってな…。とりあえず昔語りに出てくる「伝説の人」(レジェンド)とやらを召喚して「神」とやらを探してもらおうかと……」


「ほぉー………」


私の絶対零度より冷たいであろう冷めた目線と口調に王子様の顔色が更に白くなった気がする。



「つまりなんですか?どこの馬の骨かもしれない「自称・神」とやらを探索するのに兵を動かすのもめんどくさい、というかそんなことを考えるのも億劫だというそんな理由で私はいきなりこのような場所へと招かれた、と。そういうことですか?」



「あ、いや、さすがにそこまでは…」



王子様は体感気温が低くなったのか小刻みに震えているが私の知ったこっちゃない。

私はさっさとはぐれてしまった省吾さんを探さなきゃならないのだから。



「い、一応勇者として「神」を探さなくても巫女姫でお茶を濁…いや、大義名分を使えば無理に探しに行かなくてもいいのだが…」


「そうして一生神殿とやらに拘束されて人生を終わらせられるんですね。……それにハイとうなずく人がいらっしゃると本気で思われているんですか?」



ブリザードにでもあったかのように凍ってしまった王子の背後から不意に声がかかったのはその時だった。

新キャラ?が影だけ登場して台詞を出してあげることが出来ませんでした(苦笑)


そして感想や拍手まことにありがとうございます!

作者、PCの前でにやにやが止まりません(笑)

おかげで家族に「初めて2chを見てる厨房みたいでキモイからやめろ」

といわれておりますが、そういわれても嬉しいものは嬉しいのです。


これを励みに頑張りたいと思います。

ちなみに拍手のお返事は活動報告でさせていただいております。

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