急転直下のどんでん返し?
今回は少し短いです。そして内容に多少不満があるので後日改稿すると思います・・・orz
「ア…アレ、ク……?」
いつもの陽気なアレクと違う姿に思わず身が引けてしまう。
『さーや、どうした?なにかあっ…』
「せーちゃんゴメン!また後で連絡するっ!」
私は慌ててそう言って携帯を切ると指輪を外してポケットにしまった。
「サヤ…?誰と話していたのだ?」
「べ、別に誰とも話してないよっ?!や、ヤダなぁアレクったら、寝ぼけてるんじゃないのっ?!」
とっさに誤魔化してしまったものの、よく考えたら別に隠さなくても良かったような気がしたのは後の話。
その場はなんだかやばそうな目をしてこちらを見下ろすアレクの様子が怖くてそこまで考えられなかった。
「そうか…私に言えない相手ということか…」
はっ?何言ってるんだアレク?まさか、本当に寝ぼけてるとかないよね…?
兎に角このままここに居るのはとても危険な気がするので皆のところに戻ろう!
そう思ってそろりと木を背にして立ち上がり、走り出そうとしたのだけど。
その瞬間目の前を遮るようにして剣が木に刺さっていた。
「…逃がしはしない、サヤ。この世界にお前を呼んだのは私だ。お前は私のものだ」
木を背にして片方を血塗られた剣、もう片方をアレクの腕で遮られて閉じ込められたような格好になってしまう。
ええっ?!これやばい?!なんかいつものアレクと違うっ!寝ぼけてるとかそんなレベルじゃなくそもそも違う人の気がするぅぅぅぅ~~~!
パニックに陥った私の顎を細い指でクイッと上げたのでアレクと正面から目が合う。
「え………?あなた、だれ………?」
いつもと同じなのに違うアレク。
顔は同じなのに唯一つ。紫色だった瞳が深紅に染まっていた。
「私か?私はお前たちの探しているものだ。サヤ、私の巫女よ。お前は一生私のものだ」
そういった「神」は呆然とする私にいきなりキスを、した。
あまりの展開に頭が真っ白になってしまったけど、はっと我に返ると私は慌ててもがき始める。
というか、何すんだこのヘンタイ!チカン!暴行魔~~~~!!!!!
直ぐ脇に刺さってる剣のことなんて怒りで忘れると、両手で叩いても全く私を放そうとしないヘンタイのみぞおちを思い切り拳で抉りこむように殴りつける。
さすがにこれは効いたのかアレクの姿をしたヘンタイが蹲り倒れる。
その隙を逃さず距離をとると私はすかさずみんなの元へ走り出した。
「な、なに、あのヘンタイ!い、いきなりキスなんてしてきてっ!というか、私のファーストキスを返せぇぇぇぇぇ~~~~!!!!」
半泣きになりながらみんながいる野営地に飛び込むと何故か全員起きていた。
「サヤ!無事だったのね!」
「この非常時に一人でどこに行かれてたんですか?!あれほど結界から出ないでくださいと言った筈です!シーラ!バーニー様に連絡を!」
「はーい。任せて~」
寝る前の穏やかな雰囲気とは一転した緊迫した雰囲気。
私がちょっと離れてる間に何があったんだろう?
周囲を見渡せばギル君を除いた男性陣の姿がない。
とおもったけど、結界の外ぎりぎりぐらいにバーニーの後姿は見えた。
「何があったの?」
「魔族の襲撃です」
メリッサの答えに開いた口がふさがらなくなった。
「魔族…ってこの世界にはそんなものもいたの?」
いや、ファンタジーな世界なのは理解してたけど(剣と魔法が主流の世界だからねー)まさかそんな人外のものがいるとまでは思わなかったですよ。
この分だと精霊とか妖精とかまで出てきても驚かなくなりそうですよ?
そんなことを思っているとギル君が悔しげに教えてくれた。
「僕も魔族なんて伝説の中の存在だと思ってましたよ。実際ずっと目撃例などなかったのですから。でも…実際にアレを見たら信じるしかないですよ」
そう言ったギル君の視線の先、バーニーたちが張った結界の直ぐ外に倒れていたのは黒コゲになって原型をほとんどとどめてはいないが明らかに人間とは違うシルエットのモノだった。
「あいつらは正確には魔族とは違う魔獣の一種です。でも魔獣も今までほとんど現れなかったのに何で今になって・・・」
ギル君はそういったけど私は心あたりがある。
もしかしたらあの紅い瞳のヘンタイがこいつらを呼んだんじゃないだろうか?
でも、そうしたらあのヘンタイは魔王で、そいつに「私の巫女」とか呼ばれた私は魔王神の巫女?!
勇者or巫女姫なんて言われてるばあいじゃないでしょ?!それっ?!
ヘンタイとそっくりな姿をした本物王子の姿も見えないし、私は今日一日で何度パニックになったかなーとなんだか遠い目をしてしまった。
とりあえず、魔族や魔獣が姿を消したのは夜が明けるころだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字とか、文章で気になる点がありましたら指摘いただけるととても助かります~。
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2012.6.25 微修正