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怪しい電波を受信しました。

いつもより長くなってしまいました。でも分ける内容でもないのでこのままで…。

ようやく登場のお兄ちゃん'sもいます。

「あーあー、てすてす。こちら爽香でーす。誰か家にいたら電話出てよー」


とりあえず、届いてほしいと言う願いを込めて言ったので、これで言霊(チート)が発動してればあっちでは電話が鳴ってるはず。

お兄ちゃんたちの部屋には子機あるから電話が鳴ってれば気づくと思うんだよね。


あーでももしかしたら今の時間帯って皆学校で誰もいなかったらどうしよう?

お母さんも昼間留守にしてること多いからなぁ。

え、もしかして携帯充電できない状態で頑張ってかけたのに無駄足とかいうオチだったらどうしよう!


と、まぁ思わずがっくりと肩を落としたとき、携帯電話からザザザッとノイズが聞こえた。


『さ………か……?………さー……なの……』


「え?……今のって、もしかして…?!」


慌てて電波(?)が入りそうな窓辺をうろうろしてをしてノイズができる限り減るような位置を探す。


『さーや……?さーやなの…か?!』

『さやっ?!……おまっ、今どこっ……!』


携帯からノイズ交じりとはいえ聞こえてきたのは間違いなく二の兄(こーちゃん)三の兄(せーちゃん)の声だった。


「せーちゃん!、こーちゃん!こっちの声、聞こえる?!」


『この馬鹿ッ!どこ行ってるんだ?!みんな心配してるんだぞ?』

『孔明落ち着けッ!さーや、今どこにいるんだ?省吾さんと一緒にいなくなったからこっちじゃいろいろ大騒ぎになってるぞ?』


部屋の中をうろうろした結果ほとんどノイズの混じらなくなった二人の声に思わず涙が零れる。


「せーちゃん……こーちゃん、ごめんねぇ…心配かけて。とりあえず怪我とかはしてないから安心して」


『怪我も病気もしてないんだな?省吾さんはそばにいるのか?』


せーちゃんの背後でこーちゃんがまだ何か言ってるみたいだけど、感情型のこーちゃんに任せると話が進まないとわかっているせーちゃんが問いかけてくる。


「ううん。省吾さんとははぐれちゃったの。それで今、省吾さんを探して旅をしてるんだ」


『旅?さーや、お前本当にどこにいるんだ?うちの電話に番号出ないんだけど自分の携帯じゃないのか?』



あー、さすが異世界を超える怪電波でもさすがにナンバーディスプレイまで対応してはくれないかぁ…

それでも予想以上のことをしてくれたチート能力にちょっと引きながらも今までのことをざっと伝える。


いわく、省吾さんと買い物に来ていたところいきなり異世界に召喚されて勇者か巫女姫か職業を選べと強制フラグがたったことや、省吾さんとはぐれてしまい、探すために勇者としてお供を連れて旅をしていることなどだ。



『………さや、お前なんで一人だけそんな楽しそうなフラグ立ててんだよ』

『一方的に召喚されて揉め事押し付けられたのを楽しそうなフラグなんていえるのはお前だけだと思うぞ?孔明?』

『なんだよ、異世界召喚&チート能力使いまくりで俺様最強!なんてゲームでしかありえない設定だろ?』

『黙れ、馬鹿。お前、一人で見知らぬ世界に飛ばされた妹の気持ちを考えられればそんなこといえないだろっ!』

『そうでも考えて前向きにならなきゃさやだってやってらんないだろうが!だからオレは明るくしようとだなぁ!』


「こーちゃん…、せーちゃんも心配してくれてありがとう。二人のいつもどおりの声聞いてたらほっとしたよ」


あまりに変わらない二人のノリにいつの間にか零れた涙は笑い涙に代わっていた。


世界の向こう側でいつもどおりにけんかをしているだろう双子の兄の姿が眼に浮かぶようだ。

いつも冷静沈着で一手どころか三手も四手も先を読んで行動するせーちゃんだから私のさびしい気持ちも全部お見通しのよう。

いつも明るく元気で直観力に優れた行動派のこーちゃんだから沈みがちになる私を笑わせて引き上げてくれる。


双子の兄たちこーちゃん・せーちゃんだけだとある意味漫才みたいな掛け合いがいつまでも終わらないのでいつもならこのあたりで一の兄(りょうちゃん)かお母さんの突込みがあるんだけどな。

そんなことを思ってたらいきなり双子兄たちの後ろあたりから大きな音が聞こえた。


何事?!と驚いていたらさらに聞こえてきたのは一の兄(りょうちゃん)とお母さんの声だった。


『爽香っ!無事なのか?!何も嫌な目にあってないか?!』

『爽香、省吾さんと駆け落ちするならするって言ってからいなくなりなさい!みんな無駄に心配するでしょう?!光輝さんが爽香が駆け落ちしたって聞いて仕事全部放り出して帰国するって言ってるのよ!帰ってきたらちゃんと謝りなさいよ?』


「亮ちゃん、お母さん、心配かけてごめんね。とりあえず、私は元気だよ?怪我も病気もしてないし。あと、省吾さんとは駆け落ちしたわけじゃないから。いや、できることならしてもいいけど省吾さんが許してくれないって。あと、お父さんもう帰国しちゃった?今仕事忙しいんでしょ?」


『光輝さんにはお母さんが言い聞かせてとりあえず今のプロジェクトが一段楽するまで帰ってきちゃダメって言っておいたわ。今やってるプロジェクトには社運がかかってるって言ってたからね。それでも爽香が心配だから最高速で纏めて帰ってくるんじゃないかしら?』



お父さんは海外に単身赴任中なんだけど、お父さんが中心で企画したプロジェクトが大詰めを迎えてるみたいだというのは知ってる。

責任者のお父さんがいないと進まないからってお正月も泣きながら仕事してたっけなぁ。

そんなお父さんが帰ってくるなんて大事だ。

これは一刻も早く省吾さんを見つけて帰らないとまずそうだ。


「ところでお母さん、そっちの世界って私が行方不明になってからどれぐらい経ってるの?」


『うん?爽香が省吾さんと駆け落ちしてから3日ね。しかし残念だわー。16歳で結婚できる年になったから押し倒してでも駆け落ちしたんだと思って八角(やすみ)さんとめでたいわねーなんて話してたのに違ったのね』


どうやら詳細はせーちゃんとこーちゃんから聞いたらしいお母さんが頓珍漢なことを言ってくる。


でも、向こうの世界では私がいなくなってからたったの3日しか経っていないらしい。


「せーちゃん、ちょっといい?」


『どうした?』


「そっちの世界だと私がいなくなってから3日しか経ってないのよね?」


『ああ、さーやがいなくなったのが土曜日。月曜の今日は学校に風邪引いて休みだと母さんが伝えてあるはずだ』


さすがせーちゃん、いなくなった間どうやってごまかしたか気になったのをすぐに気づいてくれた。


「あのね、私の時間だとこっちの世界に来てから既に2ヶ月位経ってるんだけど……」


『ああ、異世界だからな。そういうこともあるんじゃないのか?何にしても早く省吾さんを見つけて帰って来いよ?僕たちでできることがあるなら何でもするから』


「ありがとう。あ、そうそう。今回連絡できたのってせーちゃんがお父さんが送ってくれた誕生石を使って指輪作ってくれたでしょ?あの石が媒介になってくれたっぽいの。なのであの石のこともっと詳しく調べておいてくれないかな?」


『わかった。父さんにも聞いて産地を含めて調べられるだけ調べるよ。幸い、指輪に使ったのは父さんが送ってくれた石の一部だからね。大部分が残ってるからそっちからも調べてみる』



あれ?お父さんが送ってくれた誕生石って原石だったっけ?

そう考えていると急に携帯にノイズが載ってきた。


『さ…や……、ざつ……きこえ……』


「お兄ちゃんたち?お母さん?!また連絡するっ!必ず連絡するから!」


『わかっ……、かなら…れ………』


途切れ途切れのせーちゃんの声がぶつりと切れたかと思うと携帯とリングの石の輝きが急速に消えていった。



「はぁぁ…とりあえず、意識的に言葉に意味を込めて言えば言霊として能力がでるっぽいけど、とりあえずこの連絡方法に関しては時間制限もしくは体力制限がありそうだなぁ…。すっごい、疲れた」


窓際に携帯を置いたまま持っていたリングだけ外してベッドに転がる。

話していたときは興奮して気にならなかったけど、異常に疲れてしまった。

やっぱり異世界をつなぐって体力が要るんだなぁ。


そんなことを考えている間に疲れ果てた私はいつの間にか夢の世界へ引きずり込まれていったのだった。

いつもより長めでしたが会話が多いのでテンポはまぁまぁだったでしょうか?

携帯では見づらいかもしれませんね。申し訳ありません><



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2012.6.25 異世界との連絡方法及びその前後の関連を修正。

      本筋的にはあまり変更はありません。

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