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旅の心得は誰のため?

「我らの旅立ちにかんぱーい!」


完全に出来上がっているらしいクレイグのノリについていってるのはアレク王子。

カーティスさんは同じ騎士の繋がりでか苦笑いしながらも付き合っている。

ギル君とバーニー神官長は無視するのも悪いけど、付き合いたくないという表情でお愛想程度に杯を掲げる。


女性陣のテーブルでは楽しいこと大好きなシーラさんがやはりノリノリで「かんぱーい!」と言っているし、ヴァレリアさんも笑いながら掲げている。

メリッサさんもあきれた顔をしながらもちゃんと付き合うあたり義理堅いというか。

もちろん私もちゃんと乾杯をした。


夕飯のメニューは干し葡萄を練りこんだ柔らかいパンと野菜と鶏肉(?)のシンプルなスープ、キノコと魚介類の煮込み、メインはまるごと一匹の白身のお魚がどーんと揚げられてあっさりとした餡がかかったものだった。

他にも付け合せの茹でた野菜やデザートとして出た果物のコンポートなどどれもこれもとても美味しかった。


みんなが満足するまで食べたあと、全員に話をしたかったので改めて部屋に集まってもらった。



「疲れているのに集まってもらってごめんなさい」


「いえ、お気になさらず。食堂でなくわざわざ全員を集めて話をするということはなにか大切な理由があるのでしょうから」


今回はバーニー神官長の言葉にも嫌味は感じられない。

多分、昼間馬車の中で言った案を聞きたいせいかもしれないけど。


「回りくどくいうのは好きではないので率直に提案したいと思います。今回の旅の間私たちは全員が大切な仲間だと思っています。ですから私に対して過剰な敬語などを使うのをやめてもらいたいと思います」


私の言葉に男性陣が皆目を見張る。

ちなみに女性陣には既に過剰な敬語はやめてもらっている。


「あと、様付けもやめませんか?どう見ても年下の者に様付けをしている姿は怪しく見えると思うのですが?」


「いえ、この世界では幼くても主家の方々に対して仕える者が様付けでお呼びするのは当然です。故にサヤ様に対しての言葉遣いを怪しまれることは無いと思いますが?」


「確かに階級制度が通じる場所ならその通りだと思います。ですがこれから私たちが向かうのは社交界ではなく、庶民が多く暮らす場所です。そんな場所に様付けをされるような身分の方がお供を引き連れて人探しというのはかなり目立つのではないでしょうか?」


カーティスの意見も最もだと思うが、目立たないことが第一ならば今のみんなの私に対する態度はまずいと思う。


「木を隠すなら森の中ともいいますしね。私はサヤ様…いえ、サヤの意見に賛成ですわ」


真っ先に賛成してくれたのはなんとメリッサ。

うん、自分で敬称云々言ったのだし、この際みんな親しく呼んでしまおう。


「俺も賛成ー。敬語ももちろん使えるけど、これからの長い旅の中でずっとそう話してたら気が詰まっちまうもんな」


クレイグも片手を挙げて賛成してくれる。


「私も異存はない。ああ、でも私のこの話し方は既にクセとなっているからそれだけは許して欲しい」


「わたしも問題ないでーす」


これで女性陣は全てクリア。残るは堅物男性陣ばかりだ。


「オレも構わんぞ。王子休業中だからな、皆気軽にアレクと呼んでくれ」


王子様家業から解放されたのがよっぽど嬉しいのかアレクもにこにこしている。

もしかしてアレクが探索に参加したのって王子様家業から逃げたかったからじゃないのかなぁ…?

そんな疑いを思わず持ってしまうほどアレクは楽しそうに見えた。


「あ…、皆さんがそうおっしゃるなら。そう直ぐに崩すことは出来ないと思いますが、精一杯頑張ります…その、サヤ」


ギル君(どうしても彼の印象から君付けしたくなってしまうのよね)も戸惑いながらもみんなの意見に反対はしなかった。


「………はぁ。確かに正論だと思います。それにここで反対しても誰も賛同はしなさそうですからね。貴女のいうとおりにしましょう、サヤ」


バーニーも折れたことで(というか、これで堂々とバーニーと呼べるのが楽しみで仕方ないのだが)旅の間は身分は考えないことになったのであった。





そして昼間馬車の中で私が提案し、アレクやカーティスたちも考えていた案について皆で話を詰めることになった。


チェックインした後にバーニーたち魔術師組みが神殿経由で「神」の情報を集めた結果、「神」らしき存在はエフェノリアではなく東の大国アスフェンに現れたらしいとの噂が広まっているようだ。


これはあくまで噂なのですが、とバーニーが前置きして教えてくれた情報によると、「神」が現れたときにアスフェンにて季節外れの雪が降ったそうだ。


元々アスフェンは四季が比較的はっきり分かれていてその季節季節に合わせた作物を作り酪農で栄えている国だ。

今の時期は春から夏に切り替わる頃なのでこんな時期に雪が舞うなんて通常では考えられない。

これは「神」が降臨した印なのではないか。とそういわれているそうだ。


「うーん、手がかりとしては弱い気もするけどとりあえず情報がそれしかないみたいだしまずはアスフェン目指していきましょうか。その途中でもっと具体的な情報が拾えるかもだし」


私の決定にみんな異存はないみたい。

まぁ、他に進む決定打もないしね。


「それから国境を越える前にこのパーティーを二つに分けたいと思います。馬車は一台、馬での移動で持ちきれない荷物を積み込みたいと思います」


「待って、バーニー。馬での移動で持ちきれない荷物って何?」


私の質問はカーティスが代わりに答えた。


「女性陣の着替えは必要だろう?それに場所によっては宿が取れない恐れもある。その時の臨時の寝場所でもある」


「それは本当に必要?私たちは旅に出ると決めたときから不便は覚悟の上。野宿となっても魔術師のみんなが張ってくれる結界で危険は避けられるのじゃない?」


その言葉に女性陣はうなずく。


「だったら馬車は不要だと思う。各人が必要なものだけ持って、どうしても足りなければ途中で補充、臨時の場合は仲間内で貸し借りすれば問題はないでしょう」


言い切った私にカーティスは目を見張り、そのあとバーニーを見る。


「そうサヤは言っていますが、どうしますか?アレク、バーニー?」


「その方が効率的だとは思うが、サヤは馬に乗れるのか?」


アレクの言葉に頷く。

伊達に馬術ライセンス2級は持ってませんよ?


自信満々の私にあきれた様に肩をすくめるとアレクはバーニーに言う。


「サヤが言うんだ。国境を越えるときには全員が騎馬に移動しよう。それでいいな?」


「……わかりました。では国境を越えるまでは馬車と騎馬で。表向きは貴族の旅行に見せかけましょう。その後は厳しい旅になると思いますので全員それなりに覚悟しておいてください」


バーニーの言葉に全員が重々しく頷いた。

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