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姫と騎士

王城の大広間に、十人の人間が集められていた。


五人の姫。

五人の騎士。


そして、その前には玉座がある。


玉座に座る男は、この国の王だった。


長い白髪を背中まで垂らし、

痩せた体を豪奢な王衣に包んでいる。

深く刻まれた皺、落ちくぼんだ頬。


だが、その目だけは異様に鋭かった。


獣のような光を宿している。


王は娘たちを見下ろしていた。


ゆっくりと。


一人ずつ。


品定めをするように。


広間の中央には五人の姫が並んでいる。


最も前に立つのは第一王女アリーシャだった。


長い金髪を背中に流し、

背筋を真っ直ぐ伸ばしている。

青い瞳は冷たく、誰よりも堂々としていた。


身長は170センチ。


生まれながらの王女という雰囲気だった。


その背後に立つ騎士はギルベルト。


緩やかな金髪の青年で、同じく青い目をしている。

凛々しい顔立ちの武人だった。


誇り高い顔をしている。


少し離れた場所に立つのが第二王女ナナ。


黒髪に黒い瞳。

肌は雪のように白い。


165センチの長身で、

立っているだけで人目を引く美貌だった。


その背後の騎士はルーカス。


柔らかな茶色の髪の青年で、

真っ直ぐな瞳をしている。

ナナを見つめる目には、隠しきれない敬愛があった。


三人目の姫はカノン。


緩やかに巻いた栗色の髪に、深い緑の瞳。

身長は162センチ。


姉たちより少し後ろに立ち、静かに周囲を見ている。


どこか穏やかな雰囲気のある姫だった。


その背後の騎士がシャロン。


銀髪に青い瞳。

落ち着いた端正な顔立ちの青年だった。


四人目の姫はターニャ。


焦茶色のショートカット。

日に焼けた肌。


168センチの背丈で腕を組み、堂々と立っている。


男勝りな雰囲気だった。


その騎士はナルタル。


気弱そうな青年だが、真面目そうな目をしている。


最後の姫はサシャ。


赤茶の巻き毛。

頬にはそばかす。


身長154センチと小柄で、

不安そうに周囲を見ていた。


その背後に立つ騎士がニーロウ。


赤髪をロングポニーテールに結んだ男。

細い目をした、狐のような印象の男だった。


沈黙を破ったのはナナだった。


「珍しいわね」


退屈そうに言う。


「父上が娘を全員集めるなんて」


アリーシャが視線を向ける。


「礼儀を知らないのね」


ナナは肩をすくめる。


「怖いわね、第一王女様」


ターニャが笑う。


「相変わらずだな」


アリーシャは言った。


「あなたと私は姉妹ではないわ」


ターニャが眉を上げる。


「おや?」


アリーシャは続ける。


「母が同じ娘など一人もいない」


空気が少し凍る。


サシャが小さく言う。


「……やめてください」


カノンが静かに言った。


「呼ばれた理由、気になるね」


その一言で場の緊張が少し和らぐ。


騎士たちも小声で話していた。


ナルタルが言う。


「……何が始まるんだ」


ギルベルトは短く答える。


「王の考えることだ」


ニーロウが笑う。


「娘を呼び集めて」


「良いことが起きるとは思えませんね」


ルーカスが言う。


「ナナ様なら問題ありません」


ニーロウが細い目を向ける。


「ずいぶん信頼しているのですね」


ルーカスは即答する。


「当然です」


シャロンが静かに言う。


「姫は守るものです」


ニーロウが笑う。


「誰の姫でも?」


シャロンは答える。


「私の姫だけです」


そのとき。


王が立ち上がった。


「娘たちよ」


低い声が広間に響く。


王はゆっくり歩く。


娘たちの前を。


一人ずつ。


観察するように。


そして言った。


「これより、お前たちに試練を与える」


姫たちは顔を上げる。


王は続ける。


「五つの試練を越え」


「騎士を救い出した者」


「その者を女王とする」


ナナが笑う。


ターニャが腕を組む。


サシャは震えている。


王はさらに言う。


「敗れた姫は」


「一生、この城に仕える侍女となる」


広間が静まり返る。


王は笑った。


楽しそうに。


「ゲームだ」


「姫ゲーム」


兵士たちが動く。


騎士が別室へ連れていかれる。


ナナが振り返る。


「ルーカス」


「はい、ナナ様」


ナナは微笑む。


「だって、

 女王様は一番綺麗な人であるべきでしょう?」


ルーカスは迷わず答えた。


「その通りです」


ターニャがナルタルを見る。


「怖いか?」


「……少し」


「正直でいい」


ナルタルは言う。


「逃げません」


ターニャは笑う。


「ならいい」


アリーシャはギルベルトを見る。


「負ける気はないわ」


「当然です」


ギルベルトはうなずいた。


サシャは震えている。


「ニーロウ……」


ニーロウは微笑む。


「大丈夫ですよ」


「私は死にません」


「あなたも」


サシャはうなずく。


最後にカノンが振り返る。


「シャロン」


「はい」


カノンは言う。


「信じていてね」


シャロンは答える。


「勿論です」


扉が閉まる。


騎士たちは暗い部屋へ連れていかれた。


沈黙。


そして。


ニーロウが笑う。


「さて」


細い目が光る。


「生き残るのは誰でしょうね」



ゲームがはじまった。

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