5-14話 彼らとの一瞬
輝きが視界いっぱいに広がった瞬間。
どこか別の場所に俺の意識は飛ばされていた。
そして、そこには姿は見えないけど確か俺以外の誰かがいることも感じる。
『よう、坊主。俺たちの事が見えてなくてもいい。感じるか』
「うん。わかるよ。」
『そうか、ならいい。俺はジャック。一応アップと一緒に冒険をした最初の人間だ。』
「へぇ。そうなんだ。」
『話したい事は山ほどあるが、時間はない。みんなを代表して言わせてくれ。俺たちがあいつに残せたモノに意味を持たせてくれてありがとよ。』
「そんなことないよ。今こうして俺が立ち上がれたのはあなたたちのおかげなんだ。」
『あいつ、自分じゃどんなにピンチになっても使おうとしなかったからなぁ。』
「そっか、ずっと見てきたんだね。」
『ああ、あいつとお別れしてから、ずっと・・・な。けど、それも今日で終わりだ。あいつのことを頼んだぜ。』
「うん。」
『そうか、じゃぁ俺たちはここまでだ。お前の大嫌いな世界がお待ちかねだぜ。』
「どういうこと?」
『今、お前の中に俺たちの魔力が流れ込んでいる。それでお前は世界と再接続された。変なもん体に打ち込まれて世界との繋がりが消えちまってたんだよ。だからステータスが無くなっちまったんだ。』
「じゃぁ。今は俺の力が戻ってるの?」
『いや、お前の力自体は封印されたままだ。なんていうかな、一時的に俺たちの力がお前の力になって世界との繋がりだけが戻った状態だ。』
「そうなんだ。で、世界が何で俺の事を待ってるの?」
『世界ってのはシステムだからな、決まった通りに動こうとする。お前は世界からすると別の人間として生まれ変わったようなもんなんだ。だから、世界は生まれた命に戦うための力を授ける。その力を目覚めさせられるかどうかはそいつ次第だがな。ユニークスキルって奴だよ。そいつだけが持つそいつだけの力。世界にとってその人間がその人間であるという証明だ。』
「でも、ジャック達の力が無くなったらまた世界と切り離されて使えなくなっちゃうんじゃない?」
『へー、意外と頭がいいんだな。安心しろ、その辺は制約でどうにかなる。特定の状況になった時だけ発動するっていう仕組みを入れるのさ。』
「どうやって・・・?」
『きにすんな、世界がうまくやってくれる。お前はお前自身のありかたを世界に示せばいい。』
「ははは、世界と喧嘩しそう。」
『上等じゃねぇか。喧嘩してぶんどって来い。俺たち冒険者はいつだって自分の道を自分で切り開いていかなきゃならねぇんだからよ。。』
ジャックの気配が消え、何かが意識の中に入り込んでくる。
そうか、これが世界ってやつか。




