5-8話 冒険っていいな
ゴロゴロと転がり、たどり着いたのはやけに神秘的な空間だった。
「なんだここ、やけに明るいな。」
「ほんとだ。スタン。地面の中なのに天井と壁が光ってるよ。」
「あ、これルーメフルアだ。魔力に反応して光る鉱石。そうか、ダンジョンの中に漂っている魔力に反応して光ってるのか。」
もう少し周囲を調べてみようとしたとき、ふいに声を掛けられた。
「スタンお兄ちゃん? スタンお兄ちゃんなの・・・?」
声のする方に視線を向けると、そこにはニーナが居た。
「ニーナ無事だったか。」
「ニーナ。よかったなぁ。だいじょうぶ? ケガしてない? おなかへってない?」
俺より先にアップがニーナの方に走っていった。
「アップちゃんも探しに来てくれたの?」
「そーだよ。ボクとスタンでニーナを迎えに来たんだ。一緒に帰ろう。」
「アップちゃん。スタンお兄ちゃん。ごめんなさい。私・・・」
そう言うとニーナは泣き出してしまった。
そりゃそうだろう。
こんなところで一人ぼっちでよくまぁ生きていてくれた。
「いいんだよ。一人にしてごめんな。怖くて不安なのに一人ぼっちにして悪かった。」
ニーナが泣き止むまで少し待ってから、ニーナにダンジョンに来てからの事を聞いた。
まず、ニーナは最初からこの荒野に転移し、周囲の魔物が強力なため身を隠そうとして岩山の洞窟に身を隠していた。
しかし、周辺に魔物が集まってきたため洞窟の中に進んだところ、不思議な魔力を感じる鉱石を見つけそれを拾ったら地面が崩落してこの場所にたどり着いたらしい。
落下の際の衝撃は持っていた鉱石が光って落下速度をゆっくりにしてくれたため問題がなかったらしい。
重力制御系のアイテムの元になる鉱石だったのだろうか。
「周囲の魔力とその鉱石が反応してそうなったのかもね。あ、それなら、逆に僕たちを上昇させてくれるかも。」
まぁ確かにゆっくり降りれる力があれば、ゆっくり上昇する力にすることもできるかもしれない。
「そうはいっても、そう都合よくいくもんかぁアップ?」
「わかんな~い。」
「おまえなぁ。」
「でもね、わかんないってすごい事なんだよ。これから僕たちは『わかんない』が『わった』に変わるを体験するんだから。冒険っていいよね。」
アップがこんな状況で無邪気に楽しそうにそういうものだから、俺も多分ニーナもその『わかった』に変わる瞬間に興味が出てしまった。
それは、答えは結局のところ『思った通り』か『違った』かのどちらかでしかない。
でも、その答え合わせを自らの意志で行っていく事、きっと冒険者はいくつもの『違った』をその足で踏みつけていつか『思った通り』の何かにたどり着くんだ。
それを探して、それを求めて、誰に頼まれるわけでもなく自らの意志でその道を征く。
そうさ、どうかしてるんだ。
それが俺たちのあたりまえなんだ。
「じゃ、やってみるか!」
「うん!」
「私も、私もお手伝いする…。」




