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5-4幕間 白牙

 しくじった。

 いや、それは正しくない。

 想定通りの結果と、想定外の結果が起きた。


 想定通り、我の魔力とスタンの魔力を混ぜ合わせてダンジョンを生み出すことに成功した。

 あとはダンジョン内の魔力が我の色に染まるのを待って回収すればいい。

 これは上手くいった。


 想定外の事が3つ起きた。

 ダンジョンは1つを想定していたが、何がどうしてそうなったのか無数のダンジョンが生まれこの星に散っていった。

 これでは、我が力が世界中に分散されたに等しい。


 2つ目は、我が作成したダンジョンからの力の回収方法だ。

 予定ではダンジョン内に生まれた魔物や生命の活動によって魔力の活性化が行われ、我がそれを外から受動で吸収する予定だった。

 しかし、作ったダンジョンのどれも生まれた瞬間に我と力のつながりが切れた。


 これでは、我の力がダンジョンの作成に利用されたに等しい。

 まさか、これは罠だったのか・・・?

 

 それよりも3つ目だ。

 これが一番の問題だ。

 なぜ、なぜ我は、人の姿でこの森の中に立っているのだ・・・?


 このような姿にされるとは、屈辱極まりないが元の姿への戻り方もわからぬ。

 しかしまぁ、魔力自体は使えない事もない。

 だいたい半分程度は残ったか。


 これだけの力があれば、白虎達はともかくこの世界の魔物や冒険者共にそうそうやられることもないだろう。

 となれば、各地に飛び散ったダンジョンを我自らが攻略し力を回収するしかあるまい。

 問題は白虎達に見つからないかどうかだが、この状況で我の前に現れないところを見ると今すぐ我をどうこうするつもりはないようだ。


 我をそちらの謀に組み込むとはやってくれる。

 だが、それはどこまで計算できていものか。

 十分に準備がされていない計画というものがどういう危険性を持っているかを、お前たちの身に存分に味合わせてくれる。


 となればだ、腹立たしいが冒険者としての生活とやらを学ばねばならぬ。

 そこら辺に居る冒険者を観察するか。

 そのうち人間の暮らす都市で生活することも考えねばならぬ、そうなると我の名をどうするか。


 ルナティカスという名を覚えているものは少なからずいるだろう。

 仕方がない、元居た世界の名『白牙』を使うかこの名を人間どもに教えるのも呼ばれるのも業腹だが・・・。

 次は冒険者となった理由くらいは考えねばな。


 我の魔力で作ったダンジョンを探すためというのが真の目的であるが、それそのままではマズい。

 ルナティカスと言う強大な魔物の力を封印したダンジョンが各地に出現し始めた。

 それをある組織から調査するように依頼され各地を回っている・・・コレだ!


 ふふふ、我ながら完璧な理由。

 ある組織など存在しないが、そう言っておけば依頼主との契約でいろいろと秘匿しなければならないという言い訳にも使える。

 我が目的のために存分に使わせてもらうぞこの世界よ。

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