潜入前の事前準備
「………ということで、人間界と冥界の連絡手段として、この冥フォンをお使いください。」狩猟部の機器類を管理する三輪隼人が、一穂に携帯電話型の通信機器を手渡した。その機器は霊力によって冥界との通信を可能にするように作られており、普段はSIMカードを挿入すれば、人間界でスマートフォンと同じように使用できる優れものだった。システムの構築は隼人と、そのパートナーである若宮大和が行っていた。この二人は、狩猟部のシステムだけでなく、武器の製造や管理なども担当する重要な存在だった。
「すごい!これ、写真アプリで霊力のオーラの写真が撮れるんだ!」一穂は興奮気味に言った。ghostというアプリを使えば、肉眼では見えない魂や妖を映し出すことができる。そして、彼は自分の体から放たれる霊気を画面に映し出し、喜びに満ちた表情を浮かべた。
「そうか、一穂は他人の霊力が見えないんだよな。」周は隼人に向かって、あらかじめ用意していたメガネを貸してほしいと頼んだ。「変装用なら自分で選びたいから、俺はいいよ。」一穂が陽気に応じると、周は少し困惑した。「違うんだ、変装用もいいけど、霊力が見えるメガネがあるんだ。それをお願いしたんだ。」
「そんな物まであるのか。すごいな。」一穂は思わず感心の声を漏らした。彼の目の前には、新たな冒険と未知の世界が広がっていた。
隼人はシンプルなメガネを一穂に渡した。一見してただのメガネに見えるが、かけてみるとその効果は驚くべきものだった。「おお!すげー……これ、見ているうちにだんだん気持ち悪くなってくるな。」一穂は、体からこぼれ出る霊力が視界を遮り、その揺らめきが酔いを誘った。
「そのメガネは、お前の霊力がレンズに伝わることで、他者の霊力を見ることができるんだ。だから、メガネを外すか、自分の霊力がメガネに伝わらないようにすればいいさ。」隼人は一穂に説明した。
「なかなか難しいな。周は何でメガネをしないんだ?」一穂は疑問を口にした。すると、そこで周が微笑みながら答えた。「俺は別にメガネをかけなくても、肉眼で霊力を見ることができるからさ。」
「え、じゃあ他の人も肉眼で見えてるの?」一穂の問いに、ちょうどその時、喜一が近づいてきた。
「いえ、そうではありませんよ。」喜一は優しく説明を始めた。「周さんは霊力が強く、さらにその力を肉眼で見るために訓練を受けています。私は肉眼では霊力を視ることができないので、メガネを使っています。ただ、メガネのほかにコンタクトレンズもありますから、選択肢は人それぞれ異なりますよ。」
喜一がそう言った瞬間、彼のメガネが光を浴びてキラリと輝いた。その光景に、一穂は思わず魅了され、霊力の世界に新たな興味を抱くのだった。




