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任務は突然に

霊力の実技訓練を経て、一穂の特性が次第に明らかになってきた。彼は他人の心を読むことができる超能力を持っていたが、その精神感応はしばしば諸刃の剣となることがあった。日常生活の中で、無意識のうちにこの能力を抑えるために霊力を使っていたが、そのせいで霊力の操作や拡散、つまり霊気の広がりが必要なコントロールが困難になってしまったのだ。


一穂は自らの弱点を認識し、それを補うための方法を模索していた。霊力の放出を特定の場所に集中させることで、精神感応を抑えながら力を発揮するスタイルを考え出した。彼にとって、周とパートナーになるためには、前衛としての役割を果たさなければならなかった。一点に霊力を集中させるのであれば、剣術との組み合わせは理にかなっている。霊力を剣に纏わせることで、その威力を増す戦法だ。しかし、その戦法では接近戦に限られてしまうため、剣術の訓練も並行して強化する必要があった。


一穂は意を決し、これからの訓練に取り組む決心を固めた。霊力と剣術、両方の技術を磨くことで、一歩ずつ理想の自分に近づいていくことを誓った。



一穂は喜一のもとで弟子入りしてから数日が経った。毎朝、喜一から剣術の基礎を教わる中、一穂は感謝の言葉を口にする。「ありがとうございました。」喜一は、彼の飲み込みの早さに驚きつつも、ふと気になった。「以前、自己流で剣術を学んでいたとお聞きしましたが、どのようにしていたのですか?」


喜一は、一穂の剣の扱いに対して、特に対妖用に適した癖があることを気にしていた。剣術には、殺傷を目的としたものと、妖と戦うためのものには明確な違いがあるからだ。そんな彼の問いに、一穂は少し考え込むように、懐かしい思い出を語り始めた。「俺の親友、咲ってやつが、爺さんの家の蔵から剣術の本を見つけてきたんだ。二人でその本を解読しながら練習してたけど、俺は遊び半分でやってたんだ。今思い返せば、あいつは本気でやってたんだろうな。」


その瞬間、一穂の胸に咲の顔が浮かび上がった。あいつは今、元気にしているだろうか。自分が死んでしまったことで、悲しませたことを悔やんだ。


喜一は、少し考え込んだ後に真剣な表情を浮かべ、「一旦その動きは忘れて、今教えている剣術の基礎をしっかりと体に教え込んでください。」と告げた。優れた師の言葉は、一穂に新たな決意をもたらした。




「一穂、起きろ!」周の声が静かな会議室に響いた。朝練で疲れていた一穂は、ふと目を覚ました。言葉に反応し、大きく伸びをして、まだ眠い目を擦る。ここ数ヶ月、彼は毎朝欠かさず喜一と剣術の訓練を重ねてきた。喜一からは「まだまだだ」と言われ続けているものの、基礎の動きや簡単な手合わせでは充分に力をつけてきたと実感している。


会議が終わり、自席に戻ると、周は一穂に一杯のコーヒーを手渡した。「ほら、これでも飲め。一穂、会議中は寝るなよ。」周は資料を眺めながら、優しくも注意を促す。その姿は、まるで頼れる兄のようだった。


「さ、一穂。お前にとって初めての任務になるぞ。」周の言葉に、一穂は目を輝かせる。「ええ!?」と嬉しそうに答えた。周は、彼が寝ていた間に初任務が決まったことを笑顔で説明した。初めての任務という言葉が、一穂の心を躍らせた。


その瞬間、彼の中に新たな決意が芽生えた。どんな困難が待っていようとも、喜一との訓練の成果を思い出し、一歩ずつ成長していくのだと心に誓ったのだった。

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