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一穂の才能

周は任務を終え、急いで狩猟部に戻った。一番に一穂の様子を見に行くと、その姿に驚いた。目の下には大きな隈ができ、いつもとは違う疲れ切った顔をしていた。


「すまんすまん、一穂。どうだった? 喜一は厳しいから、実技訓練を逃げ出したんじゃないかって、ずっと心配だったよ。」


一穂は疲れた表情で答えた。「ああ、ま、こんなもんだ。耐えたぜ、俺。喜一さんの訓練。」


その様子を見て、周は喜一の仕事の厳しさに感心した。きっと喜一は一穂の限界まで霊力の基礎訓練を行なってくれたのだろう。周は、一穂の進捗を確認することにした。


「なあ、喜一。一穂はどこまで進んだ?この顔だと、紙式神の付術か水式神の付術くらいかな?」


喜一は少し驚いた表情を浮かべ、「え、あぁ。周さんとパートナーになりたいって言っていたので、今は人差し指一本で逆立ちできるようになったんです。さて、今は連続5時間くらいですかね?ね、一穂さん。」


彼は一穂をチラリと見て言った。一穂は静かに頷き、「5時間が今の俺には限界なんだ。毎日、もっと訓練するつもりだけど、周、これからよろしく頼む。」


周は驚いて喜一と一穂の顔を見比べた。「え、ええ? 俺、教えることないじゃん! って、一穂、お前、良くそんなことできたな。」


一穂は目を見開き、驚いた表情で喜一を見つめた。喜一は無表情ながらも、眼鏡を光らせている。「すぐにお仕事が出来るようにね。さて、私も一穂さんに時間を取られて自分の仕事が滞っています。後は周さんから教わってください、新人さん。」と告げ、トコトコと仕事に戻って行った。


一穂は残された周を不思議そうな顔で見上げた。彼の目には、これから共に成長していく二人の姿が浮かんでいた。周の心には、小さな決意が芽生えていた。彼は一穂を助け、彼の力を引き出すために全力を尽くすことを誓った。


喜一は格好良く部屋を出て行った。しかし、彼は周に伝え忘れた重要なことを思い出した。「あ、一穂さん、霊力の具現化と拡散の才能がないことを言い忘れてしまった……。」彼は一瞬道に迷ったが、すぐにこう考え直す。「ま、いいか。すぐにわかることですし。」彼の心には、少しの不安と共に、肩の力が抜けていた。

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