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練習試合

 こちらに居る間、そのまま練習に参加していた。みんなの練習が手伝えるならいいかな程度に考えていた。

 監督は8時半頃に車で出勤して行く。

 8日からこちらの学校が3学期に入った。向こうは成人の日まで休みだ。


   *


 日曜日、練習試合。隣の町内のチームが来てくれた。ちなみにうちの町内はここの住宅地自治会と元々あった町内会が別々で、それぞれチームを持っていた。

 人口が少ないせいか、うちが一番弱い。

 監督の隣に座ってスコアブックをつけていた。7回終わって2点ビハインド。1年生だけなのに強くなったもんだ。

「沚水君、ブルペン行って」

「いいんですか?」

「その背番号は誰も使ってない。大会じゃないから構わん」

 グラヴ2つを持って向かう。


   *


 投げてる途中でグラヴを交換している姿はどうしても見られてしまう。

 そして、2点差のまま9回表に登板した。


   *


 左投げで準備投球を3回。プレイが掛かる。

 対左打者、ショートフライ。対右打者、ファーストゴロ、ボールを受け捕ってベースを踏む。対両打者、あっ。

 どうする? 監督を見る。左投げのジェスチャーをしている。グラヴを交換したら相手は右打席に入った。

 打たれた。センターが前進してフライアウト。走ってベンチへ戻る。


   *


「コントロール無いのが良かったな」

「先週始めたばかりですから」

「抑えはそれでいいんだよ」


   *


 9回裏ノーアウトから連打で1、2塁、続いてフォアボールで満塁。ピッチャー交代。次か、その次で3点入れれば回って来ない。

 ・・・無死満塁は点が入らないか。

 左打席に入り、振らないままボール、ストライク、ボール、そしてストライク。

 追い込まれてから2球続けて3塁側へファウル、そして見送ってボール。ここは監督から教えられた通り。

 投球と同時にランナースタート。打球はライト線へ転がって行った。


   *


「みんな、練習させてくれてありがとう。フルカウントは勝負!!」

 みんなに囲まれて持ち上げられ、私は三度宙に舞った。

ハッピーマンデー制度実施前は1月15日が成人の日でした。

この年、秋に近田豊年投手がドラフト外で南海ホークスに入団。翌年に出場します。

公認野球規則に8.01(f)が追加されるのは平成22年です。

私のスコアブックの付け方は「早稲田式」です。

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