幼馴染
買い物を頼まれてスーパーに来た。
「あ、優ちゃんだぁ~!」
声の主は泰子ちゃん、一緒に居るのが京子ちゃん。泰子ちゃんは初めて会ったとき、さっきの美咲みたいに固まってたっけ。京子ちゃんはその次の年に引っ越して来た。
「急に居なくなったから心配してた」
「親が離婚しちゃったし、お母さんは美咲に付きっきりだし、今大変なんだ」
「そっちの学校は坊主にしなくていいんだね」
そういやこっちの中学生は丸刈りにするんだった。
「じゃあ、私、帰るね」
「あ、監督に伝えといて、僕が両投げ両打ちになったって」
「こっちで野球するの?」
「左利きなら気付いて欲しかったなと。それだけ」
監督は京子ちゃんの父で、左投げ左打ち。彼を鏡に見立ててフォームを教わった。
*
買い物を終えてスーパーを出た。
「長い休みの時は帰って来たらいいのに」
「往復で16,000円超えるんだけど」
「小学生の振りしてればいいじゃない? 絶対にバレないって」
「うるせぇ、もうすぐ大きくなる。多分」
「電話代も高いでしょうから手紙書いて」
「わかった。向こうは牛車で運んでるから日数は掛かると思うけど書くよ」
泰子ちゃん家の地番をレシートの裏にメモする。ここの住宅地は番地が皆同じで、地番さえわかれば住所がわかるのでした。
泰子ちゃんには平気で嘘をつくのに、交通機関の従業員には嘘はつけませんでした。




