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プロローグ

言の葉の森企画「島作り」に参加した小説です。白樺島という同じ舞台でのお話の1つです。

 人見知りの人生はつらい。誰もこのつらさはわからないんだろうな。だから私にとやかく言えるんだ。お母さんもお父さんもお兄ちゃんも大好きだけど、「人とのつながりを作るのはとても大切なことなんだ」って説教してくるときは嫌いだ。私の気持ちなんてわからないくせに……。

 私は紅納月夜。赤樫高校に入学して間もない1年生。極度の人見知りの私は高校生になっても友達はいない。話しかける勇気なんてないもん。それに話しかけられても逃げてしまう。

 私にはお兄ちゃんがいる。名は朝陽。赤樫高校の3年生だ。兄妹なのに私とは全然違って、社交性があってクラスの人気者。朝陽という名の通り、毎日輝いている。対して私は月夜という名の通り、お兄ちゃんに照らされているだけだ。お兄ちゃんと一緒にいると人が集まるの。でも目立つのが嫌だから私は走って逃げてしまうけどね。おかげで足が速くなってしまった。1人のときはもちろん全く輝かないし暗い。太陽がないと月は輝かないしね。偶然だろうけど、こんなに的確に名前つけるなんて、お父さんもお母さんもすごいなと思う。

 でもな、楽しそうにおしゃべりしてる人を見るとやっぱり羨ましい。外ではみんな仲良く話しているのが、とても羨ましい。私も輪の中に入りたいなぁ……でも無理だ。緊張するもん。

 私の住んでいるところは白樺島。島だけど学校や病院や会社はもちろん、商店街も娯楽施設も充実している住みよい島で、よくテレビで見るような田舎のように何もないなんてことはないし、逆に都会のように人が溢れかえってるということもなく、人口はそれほど多くなくて本当にいいところだと思う。自然も多くて綺麗だしね。というか、テレビで見る世界は本当に現実なのかどうか疑ってしまうな。

 もし本当に現実なら、白樺島に生まれてよかったと思う。だって、私みたいな人じゃなかったら、みんな知り合いで仲良しな人間関係の輪の中に入れるもん。小さい島で長く暮らしてるんだから当たり前だけどね。

 みんな仲がいいぶん、よりいっそう私はみじめな気持ちになる。ずっとたった一人なんだもん。話しかけてくれる人はいるけど、どうしても逃げてしまうし、逃げてしまうと嫌われるだろうし、自己嫌悪にも陥る。せっかく話しかけてくれたのに何してるんだろうってね。

 毎日がつらいな。外へ出ても人とのつながりを作る勇気もない。でも1人でいるのがとてつもなく寂しい。でも、そんな理由で引きこもりになると心配かけるし申し訳ない。家族に心配かけないためにも学校へはちゃんと行かないとね。

 こうして私の生活は苦しくても続いて行く。変えたいけど、変える勇気もないのだから仕方がない。でも、嬉しいこととしてこれだけは言える。これからは肩こりがマシになるだろうなっ。


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