第10話 似ても似つかない、とても似てるもの。
雨宮先生の家に行くことになった。
もちろん勉強会目的である。
歩いてる最中、先生は俺と並んで歩いてきた。
雨宮「灰原、お前も来るとはな・・・。偉いじゃないか。人付き合いにはまりだしたか?それとも、私に会いたかったのか?」
灰原「いえ、あ、まぁ、呼び出されたから来た感じですよ。誰が来るかなんて本当に知らなかったし、まさか、先生が来るなんて思ってもみませんでしたよ。」
雨宮「君は本当にかわいげがないな。」
灰原「男に可愛げを求めないでください。」
雨宮「何を言っている?君を男だと思ったことないぞ?私が言ってるのは、教え子としての可愛げだ。」
灰原「はっは、俺以上に可愛げのある奴なんているんですか?」
雨宮「でも本当に君に頼んでよかったよ。さて、ここが私の家だ。」
そこは駅から10分ほど歩いたところのタワーマンションだった。
先生の部屋は、最上階に住んでいるみたいである。
エレベーターでぐんぐん上に登っていくと部屋に着いた。
雨宮「入り給え。狭いかもしれないが。」
角田「ここを狭いと言ったら普通の家に失礼ですよ。お邪魔します。」
雨宮「しまったな。ジュースなんてないんだがお茶でいいか?」
伏間「いえいえ、お構いなく・・・。ただでさえお邪魔してるわけですから。」
雨宮「きいたか?灰原。」
灰原「なにがですか?」
雨宮「可愛げのあるというのはこの二人のようなことを言うんだよ。」
灰原「そりゃそうでしょう。お二人さんは本当にかわいいのだから。」
雨宮「君は本当にあぁ言えばこう言うやつだな。」
そこから、勉強会を3時間近く行った。
雨宮「ピザでも取ろうと思うから、灰原と伏間・・・全員分の飲み物でも買ってきてくれ。この財布の中から・・・。」
灰原「わかりました。皆さん何飲みますか?」
和賀「私はコーラ!」
藤原「サイダーでお願いします。」
角田「ポカリで。」
灰原「了解。雨宮先生は何がいいですか?一応言っておきますが、お酒は買えませんよ?」
雨宮「さすがの私でも生徒に酒を買わせないさ。炭酸水で。」
伏間「ダイエット中とかなんですか?」
雨宮「いんや?酒で割るんだよ。」
灰原「結局、酒なんですね・・・。じゃあ、行ってきます。」
雨宮「あぁ、灰原。チャンスはあてたんだから少しは進展するようにな・・・。これ、『No.007 オータムの風』だ。」
灰原「まぁ、きちんと成果を上げては着ますよ。」
その間に雨宮先生は少し悲しそうな顔をしていた。
なにかとてもなにかを気にするように・・・。
それがなんなのかは、俺には全く分からなかった。