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頼子と俺  作者: 由起
1/5

頼子を引き取る

俺の親友が亡くなった。交通事故だった。


親友は大学の時に知り合い、まるで兄弟か自分の半身のようで、毎日一緒に居て、双子と呼ばれたりしていた。


親友の父親はヤツが2年の後期に脳溢血で急死し、母親を高校の時に癌で亡くしていたヤツは両親を亡くした形になり、年の離れた妹と自身の学費を稼ぐ為にバイト三昧だった。一緒のバイト先にしたので、俺は比較的一緒にいられたと思う。


頭がいいヤツは成績も良く、一流企業に就職した。俺はヤツに引き摺られ、まあまあいい企業に就職出来た。俺の自慢の親友だった。


就職して3年目、ヤツが危篤と連絡があり、駆け付けたら…血だらけのヤツが居た。


「誠司、頼子を頼む…妹を頼む…」

と泣いて俺の手を取って息を引き取った。


多分俺を必死で待っていたんだと思う。

まだ幼い妹を1人残してこの世を去る心残りは痛いほどわかった。


ヤツの横にはいつもヤツから話を聞く可愛い妹が涙を溜めて座っていた。


俺は親に黙って小4・10歳の妹頼子を引き取った。何故ならヤツの親戚が皆頼子を引き取りたがらなかったからだ。


正直自治体にも施設へ…と言われたが、ヤツは万一のことを考えて遺言状を遺していた。その為引き取ることが出来た。その代わり最初の半年程はしょっちゅう頼子へ電話がかかってきて、近況を聞いていたようだった。


頼子の費用は俺が負担しなくていいように、親友が全て遺言状に記載し、貯蓄もひっそりと残されていた。


俺の自慢の親友だった。


「はい、お弁当」

「え、たまには外で…」

「ダメ!お弁当の方が経済的だから!」


今日のお弁当のメインは焼き鮭らしい。焼き鮭と煮物、ほうれん草にプチトマト、卵焼き…まるで大人が作る弁当だ。昨日はオムライスに人参サラダ、ブロッコリーとイカの炒め煮だった。


本当に10歳の子供が作ったお弁当とは思えないので、会社では俺…二宮誠司同棲説が流れた。


いや、本当に10歳の子供が作ったお弁当だ、と頼ちゃんと俺の2人の写メを見せても、皆嘘だと言って信じて貰えない。上司が「二宮?亡くなった親友の妹を引き取ったよ?」と言ってくれて、なんとか信じて貰えた。


俺の親は俺に電話してきた時に頼ちゃんが出て仰天した。何で勝手に子供を引き取ったかと怒り、慌てて実家からおふくろが来た。


「はじめまして、秋葉頼子と申します。この度はご迷惑をお掛け致しまして申し訳ございません」


と頼ちゃんがきちんと三ツ指ついて挨拶したもので、おふくろは呆然としてた。


で、頼ちゃんはおふくろが呆然としている間にちゃんとおふくろにお茶とお茶菓子まで出してた。


親友の遺した遺産のことを話してもおふくろは反対していたが、頼ちゃんがつけてる家計簿を見せて


「これが家計簿です。私が使った分は分けて、兄が遺してくれた預金から引きます。それから食費やトイレットペーパー等の雑費は誠司さんと分けるべきですが、どれくらいの割合で分けたらいいのかまだわからないので、誠司さん2に私が1で今計算しています」


とやらかしたものだから、おふくろは更に仰天して口をポカーンと開けていた。


「誠司さんのお母さんは今日泊まっていかれますよね?」


と晩御飯の支度を始めたんだが、小4にしては妙に手際がいい。焼き魚にお味噌汁、筑前煮、なめこおろしなんか用意したからおふくろは度肝抜かれてた。


とにかくおふくろが感心して「あと10歳年取ってたら誠司のお嫁さんになって欲しいくらいだよ」と言い出した。


とにかくおふくろは頼ちゃんを気に入ったようだ。うちに来るかと誘ってたが、頼ちゃんはここがいいと言い張ってた。


「あんたね、こんな美少女相手に変な気起こすんじゃないよ?」


と散々言って、翌日おふくろは帰って行った。

頼ちゃんが居ると彼女が出来ないとか最初は文句を言っていたが、若くて綺麗な頼ちゃんがいずれお嫁さんになってくれたら…なんてことも目論んだようだ。


いや、相手は小4だし?15歳も下だぜ?

あり得ない…。


そんな訳で頼ちゃんと俺の生活は始まった。



毎日俺は残業になる。どうしても定時退社などなかなか出来ない。しかし頼ちゃんは晩御飯を作ってラップをして残してくれ、自分はちゃんとお風呂に入って9時半に寝ていた。


俺が帰るとどうしても音をたてるが、チラと俺を見て寝ぼけながら「お帰りなさい」と言ってまた寝る。その寝顔はすごく可愛い。せめて灯りだけは最小限にしてあげたくて、衝立で頼ちゃんが寝ているベッドを出来るだけ隠すようにしている。


まだ慣れていないけれど、仕事で疲れて帰って来て"お帰りなさい"という言葉が来るっていいなと思う。

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