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窓際令嬢の優雅なる反抗  作者: 天凪セラ
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窓際令嬢の独白

初投稿な上拙い文ですが楽しんで頂けたら幸いです!


のろのろ更新かと思いますが続けられるよう頑張ります!

 今思えば、もう少し自分の意見を伝えれば良かったなと思う。


「いやぁーの‼」

「あらあら~?何が嫌なの?これだってとても可愛らしいわ?」

 屋敷中に響くその悲鳴に近い子供特有の叫びに屋敷で働く者たちを始め、レヴァリアス王国宰相にしてこの屋敷の主たるイルヴェルト=ソーン=カーレーン公爵は‘またか’と頭を抱えた。

 かく言う、あたしエヴァンジェリン=クルス=カーレーンも齢5歳にして同じ思いだったと記憶している。

 そんな中でも、いつもあらあら~?と対応するおっとり者の母はさすがと言うべきなのかもしれない。

「あんもぴんくがいいの~‼ちいろはいやぁ~の‼」

「でも、アルジェシカはひまわり色じゃなきゃ嫌っていってなかったかい?」

「ちあうもん!あんもぴんくがしゅきっていったもん!」

 一度こうなっては収拾が付かないのは、父を始め屋敷にいるみんながこの1年ぐらいで痛いほど身に染みている。

 そして、これを収める為に一番簡単で手っ取り早い方法もみんな良く知っていた。もちろん、あたしもその中に含まれていた。


「おとうさま、おかあさま。エヴァはその青いドレスが良いです」

「あぁ~…エヴァ?でもこのドレスだと少し地味じゃないかい?今度のパーティはエヴァの5歳の誕生日パーティだよ?」

 そういいながらも和らぐ父の表情は、その言葉を待っていたのであろう。実際その時周りの者たちも明らかにホッとしていた。

「エヴァは、ピンクよりブルーのほうがすきですし、それにそのパウダーブルーはとてもきれいです」

 ‘モスリンはすくないですけど…’と少しだけ入れた不満はあの当時あたしができた最大限の自己主張だったと記憶している。

「そうだね、じゃユリシアに相談してみようか?ではあのピンクのドレスはアンに着せようか?」

「それがいいとおもいます」

 あたしが頷くと同時に今までアルジェシカを宥めていた母が嬉しそうに‘良かったわね~!アン!お姉さまがピンクはアンにですって~’と未だに半泣きの妹を抱きしめていた。そして、そんな母を見た愛妻家で有名な父は母ごと抱きしめる勢いでアルジェシカの元へと歩み寄っていった。

 そんな家族を遠目に眺めてるだけのあたしはきっと異質な者だったのではないだろうか?


「よろしいのでございますか?エヴァンジェリン様」

 静かに声をかけてきたのは、まだ父があたしぐらいの頃からこの屋敷に仕えている家令のダリルだった。余談だが、あたしの後ろではあたし付きの侍女オリビエが今ではなかなか見れないような、どこか不安そうに佇んでいた。…貴重である。

「いいの、エヴァ青いのすきだもの…それにエヴァにはあんなかわいいのは変ってみんな言ってたもの…あんなにかわいいのはアンが着るべきなのよ…だからだいじょうぶ!」

 きっとその時の私の顔は大丈夫とは程遠い顔をしていたのだろう。その証拠ではないが、その時のダリルやオリビエの悲しそうな(オリビエは泣いていた)顔は今でもたまに思い出すぐらいだ。


 そして、この時の出来事が間違いなく我が家のヒエラルキー形成のベースになってしまったのだろう。


 つくづく思う。なぜあの時あたしはもう少し自分の意見を通さなかったのか…

 仮にも自分の誕生日なのだからもう少し嫌がっても構わなかったし、怒っても問題なかったはずである。

 当時は‘あたしはお姉ちゃん’‘とうさま達を困らせてはいけない’とかいろいろ考えていた。確かによく‘お姉さまなのだから’とか‘公爵令嬢として振舞いなさい’とか言われていたのでそういう考えは今でもあるので刷り込みといえば刷り込みなのだろうが…嫌ならば反発できたのも事実なのである。


 それが出来なかったのは、所謂【しっかり者の姉と手のかかる妹】として我が家で根付いてしまい、わがままを言える雰囲気でなくなってしまったのである。


 ここまでの話をだけ聞くと父も母も妹もとんでもない家族に見えるが、決してそんなことはないのだ。

 父は稀代の天才といわれる宰相で冷静沈着・氷の采配などと恐れられるほど客観的に物事を見極められる人物だ。国王の懐刀と呼ぶ人もいる。対照的に家族には優しくいつも大切にしてくれている。愛されているのもちゃんとわかる。

 母はおしゃれや可愛いものが好きで一見おっとりしているの貴婦人だが、能ある鷹は爪を隠すてきな人物で、侮ってかかると寝首を搔かれる。間違いなく公爵夫人で良き妻なのである。一方で子供達にとっても良き母で、上手にできると抱きしめて褒めてくれ、間違うと子供が納得するまで教えてくれる。

 妹だって明るく社交的で、わがままが玉に瑕なのだがもしあたしが男なら間違いなく婚約者候補筆頭になるぐらい魅力てきなのだ。お姉さまお姉さまと良く懐いてもくれている。


 そうなのだ。決して家族だけが悪いわけではないのである。

 ではなぜなのだろうか?



 あぁ―――そうか私が


「本に目がくらんでしまったのね」


 そう言って私はあの後父が取り寄せてくれた『レヴェリアス王国建国史』なる豪奢な装丁の本を抱きしめた。

主人公の口調が少しかたいですが、自問自答的なことなので…

今後もう少しやらかくなるかと思います


もし誤字・脱字があれば遠慮なく教えてください。

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