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3:大変な日!

気が付くと、俺は自分の部屋のベッドで横になっていた。


「なんだ、夢だったのか?」


「起きたか!大丈夫か!」


親父が肩をつかんで揺らす


「たった今、脳震盪になるところだ」


部屋にロスが入ってきた。


「よう、無事だったようだな」


「ああ、一応。あの後、何があったんだ?」


「あの後?衝撃がして、俺たちは山に向かったんだが、信じられないことに、ブラックドラゴンの死体とお前が一緒に寝てたんだよ」


「ああ、邪魔してほしくなかったね」


「そうしたかったが、相手が上玉だったんでね」


夢ではないらしかった。


「で、何してたんだ?お前。副領主様が回復したら話を聞きたいから、屋敷へ来るようにだってさ」


「おー、マジか。まぁ、しゃーないな」


「まぁ、お前も本回復しているわけではないだろうから、もう少し、休め」


「ありがとう」


「と、言いたいところだが、実はブラックドラゴンの肉が腐って、ゾンビドラゴンになる前に加工するようにとの領主の命令でな」


「まさか・・・・・?」


「加工手伝え」


「おー、マジか」


だるい体を引きづり、俺と親父、そして、裏山で騎士団の仕事があるとロスはドラゴンのもとへ向かった。


数時間後、ドラゴンのもとにつくと、そこには領主と副領主がドラゴンを深刻そうに見つめる姿があった。


俺は、騎士団のみんなのところで、ドラゴンを食おうとする魔物の討伐だ、とロスが向こうに行ってしまったので、俺と親父は領主のもとに向かった。


「おお、加工場の」


「リオンと、こっちが息子のゼロです」


「大きくなったな。素晴らしい加工の腕だとか」


「いえ、普通です。それよりも・・・」


「ああ、本来ならセントラルからの使者を待つべきだろうが、個体が個体だ。こんなのがドラゴンゾンビになったらと考えると、ぞっとする」


「ええ、的確な判断だと思います。つきましては、すぐに作業に移らせていただこうと思いますが」


「頼む。それと、せがれの方だが、少し話をきかせてくれないか?」


「わたしですか?」


「ああ。なぜ、あのドラゴンのそばにいたのだ?」


「偶々、いやなことを忘れようと思って、仕事をさぼって、山の頂上にいたんです。そしたら、ドラゴンが山の中腹に不時着したのが見えたので」


「そのそばにいったということか。お前は、確かその呪いをドラゴンにやられたそうだな。ならば、恐ろしさはわかっていただろう」


「当時の経験から、ドラゴンから逃げても無駄なことは知っておりましたので。それに、天空の覇者であるはずのドラゴンが落ちたということに、少なからず疑問を持ちましたので」


「なるほどな。それで、なぜ気絶をしていたのだ?」


「それは・・・・」


「ん?」


親父が妙な顔をしてこちらを見つめる。


「どうしたのだ?」


「いえ、息子の顔が普段と少し違うような・・・・・・それに身長も少し伸びている気がするので」


「本当か?」


「はい・・・お前、ゼロだよな?」


「うん。でも、」


「なんだ?」


「実は」


「大変です!!!!!!!」


兵士が一人、領主のもとに駆け寄る。


「なんだ??」


「ドラゴンがこちらに向かっております!}


「なんだと!!!!!」


黒い影が、突然目の前に現れたと思うと、頭上より、家ほどもあろうかという龍が降りてきた。


「な!」


『この村にブラックドラゴンが落ちてきたはずだ。そう、こいつだ。ん?核がないぞ!!何処にやった!!


ドラゴンがこちらをにらむ。


「お前だな。お前からブラックドラゴンの魔力を感じるぞ。まさか・・・・・・核魔法をつかったのか?」


「いや、使ったっていうか、使われて・・・」


『なら、おまえを連れ去るしかないようだ!!』


ドラゴンは此方に向かって、はじけるように飛んだ。


領主様!!と、騎士団が盾を持って領主の前に立つが、あっけなく吹っ飛び、俺たちの目の前にドラゴンの顔が広がる。


俺は何の気なしにその手を突き出していた。その時、おこったことが信じられたのは、文字通り、見ていたからだろう。


見ていないものは、嘘だと笑うに違いない。


なぜなら、俺の拳はドラゴンを吹き飛ばしていたのだから。


鳴き声を上げるドラゴン。


「ゼロ・・・・お前」


「領主様!いますぐ逃げてください!!」


「なにを・・こいつはもしかしたら、村を襲うかも」


「だとしても、騎士団と戦った方がましでしょう。親父も行け!!」


『その男が親父で、その男が領主・・か』


「なに??」


ドラゴンが再び、突進してくる。


さっきとちがったのは、ドラゴンがブレスを放ったこと、そして、俺がよけてしまい、領主と親父の元まで、ドラゴンをたどり着かせてしまったことだ。


『こいつらをさらってゆく。惜しければ、西の果ての山脈に来ることだ』



「なに!!」


『その力があればできるだろう』


「まて!!おい!!!!!!まてぇええええええ」



俺の叫びはむなしく、山に響いた。



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