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昨日の敵は今日の〇〇??  作者: 蓮野ツバキ
冒険の始まり編
7/22

第7話 昨日の犬は今日の嫉妬??

お待たせしました。

 俺たちは作戦を開始した。

 まず、ティンをどうするか考えたが、やっぱりティンは窓から脱出する事になった。

 まぁ、忍者だから。

 屋根を通じて渡る事ぐらい簡単だろう。

 次は、リアの口封じ……、じゃなかった。リアに、ティンの事を言わないよう注意だ。

 コイツの口からそんな事を言ったら、きっと作戦失敗に終わるからな。

 元も子もないんじゃ、しょうがねぇからな。

 さて、そんな過程(プロセス)を経て、今に至るわけだ。

 これからが重要だ。絶対に成功させてやる。

 そう、絶対にだ。




「リア、準備はいいか。」

「準備はOKよ!私が準備不足するなんて事、絶対にないっ!」

「よし。それじゃあ行くぞ。」


 俺は、躊躇なくドアを開ける。


「待たせたな、爺さん。」

「いえ、とんでもない。それではご案内いたしましょう。」


 爺さんに誘導され、俺たちは廊下を進む。

 廊下には、様々な物が飾ってあった。

 壁画、甲冑、それに双頭犬(ケルベロス)……、


「って!ケルベロス!?」

「ウォン!」

「しかも生きてるし!何で廊下にケルベロスがいるんだよ!」

「何を仰っているのですか?昨日からあなたに、ついて回っていたじゃないですか。」

「マジかよ!どっからいた?」

「何?今まで気づかなかったの?」

「お前も気づいてたのかよ!ならもっと早く言えよ。」


 カナタのツッコミは今日も絶好調。

 しかし、カナタ自身はもちろん本気だ。


「ウォン!ウォウォン!」


 会話に参加するように、双頭犬(ケルベロス)が吠える。

 すると、カナタはツッコミを止め、双頭犬(ケルベロス)に向き合った。


「そうか、昨日からか。それで、一体何でついて来たんだ?」

「ウォ、ウォンーウォン。」

「そうか。それなら、俺の相棒にならないか?きっとお前も楽しいと思うぞ。」

「ウォン!」

「よし、これからよろしくな。」

「ウォン!」


 手と前足()をがっちりと握り、握手を交わす1人と1匹。

 そんな光景で、リアは泣きそうに……、


「って!何でそうなるのよ!」

「何でって?」

「だから、その会話よ!普通は犬語なんて分かるはずないでしょ!何で普通に会話して納得してんのよ!」

「確かにそうだな。会話の内容を話すから、よく聞いとけよ。コイツはな……、ゴファ。」


 会話の内容を話そうとしたカナタに、リアのアッパーカットが炸裂。

 カナタは、訳の分からないまま殴られる。

 そしてリアは、新たな技(アッパーカット)を習得した。


「何しやがる!どうして俺が殴られなくちゃいけねぇんだよ!」

「うっさい!カナタが悪いんでしょ!何で動物と話してるのよ!」


 リアが、カナタの胸倉を掴む。

 しかも、目はすごくうるうるだ。

 そのせいで、カナタは慌てだす。


「そっ、その事は後で説明してやるから!何なら後で話し方も教えてやるから!」

「えっ!私でも話せるのっ!」


 少しだけ明るくなった。


「あ、ああ。」

「そう、それならいいわ。後で教えなさい。……できれば、2人で。」

「お前、まさか……。」


 リアの顔が赤く染まっていくと同時に、カナタが、急にリアに近づく。

 まるで、何かに気が付いたように。



 う、嘘でしょ。こんな時に限って何で……。

 そんな意味で言ったわけじゃないのに。

 私だって、そんな時はもっと……。 

 え、本気?嘘でしょ?心の準備はできてないのに。

 もういいわ。カナタに任せる。

 もう、なるようになりなさい。



 目をつむったリア。

 周りから見ても、この2人がしようとしている事は一目瞭然だ。

 なのにカナタは、悪そうに笑っている。

 どっからどう見ても、悪人そのもの。

 そして……、


「目をつむるとは、いい度胸だなおい。」

「へっ?」


 リアが目を開けると、カナタは構えていた。


「おかえしだ!このバカ『魔王(まおう)』!颯の剣(スピードスラッシュ)!!」


 カナタの颯の剣(スピードスラッシュ)は、カナタが作り上げた技だ。

 向こうの世界で、『勇者』として初めて使った技ー走剣(ランブレイド)を、カナタがアレンジしたのだ。

 自分の身体スピードをMAXにする走剣(ランブレイド)に対し、身体強化と潜在能力の底上げをできるこの技は、カナタの動きとマッチしている。

 それゆえに、1時期は『風の勇者』なんて呼ばれていたのだ。

 そんな得意技を、リアに対して放つ。

 その攻撃にリアは……、


「きゅ、急に仲間を攻撃するなんて!一体どうなのよ!」


 無傷で立っている。

 その秘密は、リアの霧の守護(ミストプロテクト)

 2人のこの技は何度もぶつかり合ってきたが、1度も破られた事のない技。

 まさに、颯の剣(スピードスラッシュ)の天敵と言える技なのだ。


「そうかそうか。俺にした事を反省すらしてねぇのか。」

「なっ!」


 リアは一歩後退する。


「そんな事ないわよっ!だって私、アッパーカット(弱いパンチ)しただけだもの!」

「それだよ!何で嫉妬しただけで殴ってくんだよ!」

「だって、カナタなら大丈夫だと思ったから……。」


 リアは、恥ずかしそうに髪をいじっている。

 そんなリアを見て、少し落ち着いたのか、カナタは自分から言い出した。


「まぁ、俺も悪かったよ。そんなに話したかったなら、早く言ってくれよ。」

「うん。でも……、私も悪かったかも……、しれない。」


 リアは、ゆっくりと絞り出すように呟いた。

 その様子を見て、カナタは思った。

 リアも謝るのか、と。

 そう、自分の知らない部分を見た気がしたのだ。

 だからこそ……、とカナタは再び話し始める。


「リア。」

「何?」

「今度2人きりで、教えてやる。動物語でも何でも。……だから笑え。お前が悲しそうだと、調子が狂う。」

「カナタ……。」




 何でコイツは、いつもこうなの?

 だって、私が悪い事したんじゃないの?

 じゃあ、何でコイツに言われて、笑いたくなるの?

 教えてよ……。



 …………何で、心が温かくなるの?




「リア?」

「ふぇ?」

「どうしたんだ?笑う気力もないのか?」



 あーあ、どうしてこうなんだろう。

 でもいいわ。答えてあげましょう。



「そんな事ないわよっ!笑い飛ばせない事なんてないっ!」



 コイツが笑えって言うんだったら、少しぐらいいいかもしれないわね。

 ケンカして、笑い合うっていうのも。

 ちょっとだけだけどね。


「さぁ!早く行くわよ!カナタ!」

「おう!」


 お互いの事をちょっと知り、2人はまた歩き出すのだった。






 その頃、ティンは……、


「遅いなー。何やってるんだろーなー。」


 ……暇を持て余していた。

このケルベロス……、やばいんです。

自分自身でも楽しみです。

ぜひ、お楽しみに。

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