第6話 昨日の喧嘩は今日のミッション??
やっと、できた……。
間が空いてしまいすみませんでした。
カナタがベッドの横で小さくなってから、およそ30分が経過した。
3人はというと、それぞれがとても奇妙な姿になっていた。
まずは、カナタである。
自分に対する恥ずかしさで、再起不能な状態になっている。
全く顔が見えない上に、何やらブツブツと呟いている。
まるで、何かの呪文のようにも聞こえる。
きっと、自分に何かしたいのだろう。
一方、今回の件で一番の責任者であるリアは、戸惑い続けている。
自分に納得できないのか、時々自分をビンタしている。
まさに『魔王』。どんな時でも、自分を貫いている。
そして最後に、事態を悪化させたティン。
必死に縄をほどこうとしているが、この30分間をフル活用しても、一向に縄がほどけない。
いくら動いても、いくら考えても、全然ほどけない。
当たり前である。なぜなら、リアの魔法によって、縄がきれいに結ばれているのだから。
まさに三者三様。
この異常と言える……、いや、それ以上かもしれない。
とにかく誰も近づく事ができない。そんな空間になっていた。
だが、そんな空間に1歩ずつ近づく者がいた。
何やら、おかしいですな。
あれほど騒がしかった部屋が、こんなに静かになっている。
『勇者』様方に朝食を……と思い、部屋に来ましたが、これでは部屋に入りづらいではありませんか。
きっと、何か問題があったのでしょう。
そうです……、たぶん。
まぁ、こんな時こそ私の出番です。
昔は『賢のロージエ』と呼ばれていたのです。自信を持ちなさい、私。
「大丈夫ですか、ロージエさん。」
「ええ、もちろん。」
あぁ、共について来た者にまで、心配させてしまったとは……。
もっと、しっかりせねばな。
最近、物事を忘れる事が増えてきてしまいました。
そのせいで、『勇者』様方がオンボロ部屋に……。
それこそ迷惑だったと、私は反省しているのです。
それゆえ、私は覚悟を決めなければならないのです。
「いいですか、ノン。今から私は……、突入します。」
「しょ、正気ですか?」
ノンは困惑した声で聞き返す。
その中には、自分への感情とロージエに対する感情、どちらも混ざっていた。
「ええ。」
「こんなにも不気味なのに?」
「ええ。」
「こんなにもオンボロなのに?」
「ええ。」
「そう……、ですか。」
「どうしてそこまで心配するのです?」
「だって、それは。」
急に口ごもるノン。
それを見て、優しく語りかける。
「心配いりません。たかが朝食運びです。私も昔、よくやったものです。」
「ですが、しかし。」
「大丈夫です。必ず帰りますから。」
「そんな。」
「私ももう老人です。今しかできない事をしたいのです。」
「ロージエさん……。」
「ここで、待っていてくださいね。」
「はい!お待ちしています。」
さて、覚悟を決めますか。
そうして老人は、部屋をノックする。
中の混沌な空間へと。
コンコン。
ノックの音が部屋に響く。
3人はゆっくり顔を上げる。
「「「どちら様ですか……。」」」
極端に暗い声である。
だがそれに、爺さんは怯まない。
「私でございます。朝食をお持ちしました。」
「「「あーうんそう。」」」
「はい。」
「「「……。」」」
「……。」
「そ、そういえばお二人とも、昨晩はお楽しみでしたか?物音がしましたが。」
「「「ん?」」」
ふと、3人は気づく。
ここにいるはずなのは、2人の『勇者』である事を。
1人、不法侵入してきた事を。
「「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!」」」
「っ!ど、どうかなさいましたか!」
「あっ、いや、違うんだ!虫がいたんだ、虫が!」
「左様ですか。朝食の方はいかがなさいますか?」
「ちょ、ちょっと!ちょっとだけ待ってくれ!」
「了解いたしました。準備が整い次第、お呼び下さい。」
「ああ、分かった。」
ドア越しの会話を終わらせ、ティンに近づくカナタ。
そのまま持ち上げ……、
「って!何するんですかー!」
「何って、一時的なポイ捨て。」
「ポイ捨てっ!?何でですー!悪いことしてないですよー!」
「不法侵入は普通に犯罪だ!それに、どうにかしないとお前がいる事がバレるだろうが!」
「確かにヤバいですけど……。」
「何なの、急に黙り込んじゃって?反省しちゃったわけ?」
「まぁ、反省はしてますけど……。」
何やらティンの様子がおかしい。
今まで散々うるさかったのにな。
ここまで静かだと逆に心配だ。
まったく、仕方ねぇな。
「ティン。」
「はい。」
真剣に名前を呼ぶと、ティンもはっきりと答えた。
「ここから逃げるぞ。」
「え。」
戸惑っているティン、そして、驚愕とばかりにポカーンとしているリア。
2人に対し、カナタは話しかける。
「いいか。逃げると言っても、すぐじゃない。今はティンだけだ。」
「ふーん。じゃあ何をしようとしてるのよ。」
「これはあくまで提案だが、ティンを助けるのには、今のままじゃだめだ。だから………。」
2人に提案の内容を話していく。
1人、驚きすぎて顔が大変な事になっているやつがいたが、気にしなくていいだろう。
「ちょっと!本気で言ってるの?そう簡単にうまくいくわけないじゃない!」
「確かにそうだ。けど、話を聞けば聞くほど分かるんだよ。」
「何がよ?」
「その探し人だよ。何て言えばいいのか分かんねぇけど。似てんだよ……、誰かさんにな。」
「誰よ?」
「ここにいるはずがない、元の世界の人だ。お前が知らなくて当然だ。」
「そうなの……。悪かったわ。」
「いや、こっちこそ悪かった。で、この作戦、乗るか?」
「もちろんよっ!私にできないミッションはないっ!」
「ティンはどうだ?」
「はい。迷惑かけちゃってすみません。」
「よし!じゃあやるか!」
俺たちは動き出す。新しい計画に向けて。
きっと今、俺たちの心は1つになっている。
今まで喧嘩していた分、お互いの信頼は大きくなっているだろう……、たぶん。
結局のところは、成功しないとヤバい。
2人のためにも、ここは俺がやってやるしかねぇな。
脳内構想は十分ですが、話が全然進む気配がない……。そんな感じです。
このミッションが終わったら、新章突入です。
時間がかかると思いますが、なるべく早く書きます。
よろしくお願いします。